いて座
流れのままに、健やかに
「浮力」の発見
今週のいて座は、「爽やかやからだにかすかなる浮力」(日下野由季)という句のごとし。あるいは、またひとつ新たなる夢をそっと膨らませていくような星回り。
水の中に入れば誰もが「浮力」を容易に感じることが出来ますが、掲句ではそれを陸上にいながらにして感じているのだという。澄んだ秋の空気を感じていると、あまりに爽やかで、思わず身体が軽くなったような気がしたのかもしれない。
水の中に入って浮力を感じたのならごく当たり前のことだけれど、そうでないところで「浮力」を見出したのならそれは詩人による発見に他ならないだろう。
今週は6日(金)にいて座で上弦の月を迎えていきますが、いて座の人たちにとってそれはまさに掲句のごとく「浮力」を与えられたような心地になるはずだ。
どう頑張っても不自由なこの世界において、一時的にしろ「浮力」の助けを借りられた時、人は新たな夢を膨らませる。
あそこに行ってみたかった、あの人と会ってみたかった、こんな地位を占めてみたかった。
どんなことでもいい、あなたを阻む水流の抵抗は劇的に軽減している今、あなたの想像力がどれくらい「すこやか」なものであるかが問われていく。
赤ちゃんのように
ここで思い出してみたいのが、産まれたばかりの赤ちゃんというのは一体どんな感じでこの世に生まれてくるのかということ。
おそらく肩を張ってがむしゃらになりすぎている訳でもなく、かといってイヤイヤしている訳でもなく、自分の身に訪れた環境の変化をごく自然に受け入れつつも、全身でそれに驚いているのではないでしょうか。
より厳密に言葉にすれば、赤ちゃんというのは常に世界に開かれており、その結果として驚くための準備ができている。
そして、それと同じような意味で、今週のあなたもまたこれまでどこか間接的な手段を通してなんとなく感じていた変化の流れのようなものを、直接肌で感じとっていくことができるはず。
目の前にどんな<未知>が開けてくるのか、いまは「浮力」に任せて、ただただ赤ちゃんのごとく、余計な力を抜いて世界に開かれていきたいところです。
今週のキーワード
開かれつつも驚いていく