いて座
夢と現実のゆらゆら帝国
聖徳太子と夢殿
今週のいて座は、夢見る王のごとし。あるいは、自分を夢見てくれている夢との通路にアクセスし、これから先の自分へ向けてお告げを受けとっていくような星回り。
現代人は、夢は自分の中からやって来るものと考えますが、どうも中世やそれ以前の社会では、夢は自分の外から送られてくるものであり、自分は夢の受信者ではあっても所有者ではない、といった感覚がより強く感じられていたようです。
例えば平安時代につくられた説話集『今昔物語集』には、聖徳太子に関する次のようなお話がお話があります。
「太子、斑鳩の宮の寝殿の傍らに屋を造りて夢殿と名付けて、一日に三度沐浴して入り給う、明くる朝に出で給いて、閻浮提(えんぶだい)の善悪の事を語り給う」
聖徳太子はしばしば「夢殿」と呼ばれる八角形のお堂に入り、日常において夢を見るのとでは異なる手続き(沐浴)を通して夢を乞い、夜籠りで得た夢のメッセージに基いて、閻浮提(えんぶだい)、すなわち人間の住む世界で起こる善いことも悪いことも語って聞かせた、と。
つまり、聖徳太子は自分の見た夢を当時のすべての人のものと考えていた訳で、これは神と交渉し、神意を人々に伝えていくことができるという古代の王権の需要な要素でもありました。
今日の夢の多くは個人の中で忘却されていきますが、うお座で海王星とともに新月が形成される今週のあなたの場合、人に夢を語っていくことで夢の民主化をはかっていくことが大切なテーマとなっていくことでしょう。
未来は既に訪れている
少し違う文脈に置き換えてみましょう。
例えば「自動筆記」というのは、あたかも何か別の存在に憑依されて肉体を支配されているかのように、自分の意識とは無関係に何かを書き出していってしまう現象を言いますが、私たちは少なからずこうした自動筆記を日頃から体験しているのです。
そう、第六感とか虫の知らせが誰にでもあるように、未来は誰の元にも頻繁に訪れている。それは聞き間違いや、なんとなく発した一言、なぜか買ってしまった品物など、じつにさまざまな形で私たちの元に降りてくる。
ただそのことに気付くにはいわば「意識的無意識」ということを、どこまでできるかが問われます。開かれつつ、待っていること。
そして捕まえた途端に身で表現に変え、それを開示していくこと。この一連の流れを、今週はどうか大切にされてみてください。
今週のキーワード
夢の民主化をはかる