いて座
本音を語りて戦慄せしめよ
乱れ、切れ、ほとばしり
今週のいて座は、「かも南蛮とつぶやけば鴨みな去りぬ」(関悦史)という句のごとし。あるいは、真実を漏らして、生ぬるい現実を切り裂いていくような星回り。
鴨がいっぱいいる池で、「かも南蛮」ってつぶやいて、ぶわーっと鴨が去る。それだけの句なんですが、なんというかもう元も子もなさすぎて笑ってしまいます。
鴨が池で泳いでいる風情のある景色も、作者からすれば「鴨が葱を背負って来た」くらいの感覚だったのかもしれませんし、まあ何というかこういう句に対して余計な詮索をするのは野暮ですね。
ただ、裸の王様ではないけれど、人の口から本音や真実が語られる時というのは、こうした不自然とも思えるほどに唐突な文脈の中でなされるものではないでしょうか。
躊躇したり、くよくよしたりしている中で本音や真実を語れるほど、人は強くもなければ鈍感にも出来ていないのですから。
今週のあなたもまた、文脈の乱れや飛躍、俳句における「切れ」のような仕掛けを通して、本音や真実を大いにほとばしらせていきましょう。
魔法の杖になる
別の言い方をするならば、今週のあなたは普段ならあまりまとうことのないような、スキャンダラスな空気を発していきやすいのだとも言えるでしょう。
日頃行き来している日常空間から不意に道を逸れ、見慣れない路地裏や非日常への扉の先へ、思わず歩を進めてしまうこともあるかもしれません。
同時に、あなた自身も箸が転んでもおかしかった思春期の頃に戻ったように、いつもの帰り道がどこへ通じ、両足はどこへ向かうのか、自分でもコントロールできないような状況を、どこか楽しんでいるところがあるでしょう。
夜道でふいに三叉路に出会った時の、不安と期待が入り混じったような、なんとも言えない気持ち。まだ名前のついていない感情。
そうしたものを糧にしていくことで、今週はみずから「魔法の杖」となって、胸の内に秘めてきた本音や真実を告げていきましょう。
今週のキーワード
逢魔が時