いて座
弱みこそ最大の強み
命を研ぎ澄ませ!
今週のいて座は、「吾が宿痾氷柱に入り花となる」という三好潤子の句のごとし。あるいは、消えてくれない汚点や黒歴史を、違う形で活かし、再生させていくような星回り。
「宿痾(しゅくあ)」とは長い間治らない病気ないし持病のことで、確かに作者は生涯を通じてさまざまな病魔に侵され続けた多病の人であった(それでも六十代まで生きたが)。
そして生涯にわたって、彼女は病魔に侵された自分自身について詠み続けたし、その度にまるで「氷柱(つらら)」のように自らの命を研ぎ澄ませていった。
翻って、インターネットやSNSなどを見るにつけ、最近、社会はますます誰かの落ち度やミスに厳しくなってきて、私たちはすっかり自分自身を受け入れるだけの余裕を失ってきているように感じられる。
けれど、自分や誰かの弱さや過ちを足蹴にして暴力的に扱うのは、もういいじゃないか。
今週のいて座の人たちにとって大事なのは、人はどうやって再生するのか、弱さを抱えつつそれでも生きていこうとする時、人は何を思い描けば幸せになれるのか、といったこと。
その意味では掲句はそれ自体がまさにひとつの再生の物語であり、理想のシンボルといっていいだろう。
感染と免疫
私たちは誰しも「免疫」を備えている。
これは、体の外から侵入してくる細菌やウイルス、あるいは体内で発生したガン細胞などを撃退するじつに精巧な仕組みのことで、この免疫の存在ゆえに、私たちは生き続けていくことができる。
ただし、そうした免疫が発動し、しっかりと作用していくようになるためには、一度ウイルスや細菌の侵入をゆるし、感染してみなければならない。
彼らを雇うには、それなりの「弱み」や「欠落」を晒し、その自覚を深めていかなければならないのです。
あなたの弱みは何ですか? いまのあなたには、いったい何が欠落しているのでしょう?
今週はそんなことに気を向けているうち、思い当たる節に熱がこもっていくはずです。
今週のキーワード
多田富雄『免疫の意味論』