うお座
静かなる移ろいの時
無自覚と忘却の最中で
今週のうお座は、「藍色の月さえ楡の木にのぼりきみとわたしのいない六月」(大森静佳)という句のごとし。あるいは、無意識のうちに大切な移ろいを経験していくような星回り。
楡の木に美しい夜が訪れている。ただ、そこには恋人も自分もなぜか不在である。どうも、どちらもすでに死んでいるだとか、生まれるずっと前の話といった大げさな話ではないような感じだ。
単にどこかですやすや眠っているのかもしれないし、月の満ち欠けのことなんてすっかり忘れてどこかで一緒に食事でもしているのかも。
あるいはこれは、お互いが気が付かないうちに、何か決定的なタイミングを迎えつつあるという線だって大いにありうるだろう。
決定的なタイミングに、いつも主人公が自覚的に立ち会うとは限らない。そんなご都合主義的なストーリーはもう流行らないのだ。
特にうお座にとっては、何も考えず、流れに身を任せている方がかえって自然な展開と言えるだろう。
孤独と淋しさのスクリーン
都会の空は、ネオンの氾濫するスクリーンのようです。こぼれ落ちるような深い孤独の息遣いが感じられない代わりに、そうした孤独をネオンで薄められてしまった白けた悲しさがある。
こうして山の上や郊外ではあんなにひしめきあって見えた星々も、都会ではまったく印象が変わってしまう。
これでは星々が無理やり光で照らされてしまい、無意識でいられませんし、意識が沈みこんでいくような間合いや静けさがかき消されてしまう。
- 孤独をごまかさないこと
- 淋しさを無理に埋めようとしないこと
- シンと静まりかえった間を大切にしていくこと
流れに身を任せていくためには、やはりそういうことが大切になってくるのかなと、今週はそんなことをぼんやり考えつつも、うまく忘れてしまえるといいのですが。
今週のキーワード
ドリーミング