うお座
祈りを取り戻す
雨夜の星
今週のうお座は、「にほひ来るまくらに寒き梅が香に暗き雨夜の星やいづらむ」(藤原定家)という歌のごとし。あるいは、普段ならその姿を目にすることもできない稀な存在を垣間見る喜びに感じ入り、それを祈りへとつなげていくような星回り。
文句なしの秀歌、というより凄まじい妖艶さを感じる歌と言った方が正確だろう。題は「梅薫夜風」。まだ寒さのさりやらぬ早春の夜更け、肌を刺すかのように鋭い白梅の香りに触発されて、雨の彼方に星が生まれようというのである。
「雨夜の星」とは、ほとんど想像もできないほどに稀な出来事のように思えるが、近いものとして「雨月」という言葉にも、雨で名月が見れないという意味と、雨の日の夜の一瞬の雲間からのぞく月との2つの意味があることを考えれば、そうありえないことではないのかもしれない。
今週のあなたもまた、普段ならば見過ごしてしまっていたり、その存在さえ忘れたまま放置していたような「雨夜の星」を改めて見出していくことになるはず。
雨にさえぎられて見えない星の暗いまたたきが、心の内側でかすかにきらめく瞬間を、どうか見逃さないでください。
祈りと望みの違い
祈りとは、望みとは決定的に異なっており、望ましい事態の実現に際して、その責任の一端を自ら引き受けたいという意志の現れなのです。
つまり、自分にとってそれほどまでに大切だと思えるものが明確でなければ、自然と祈りから人は遠ざかっていきますし、ましてやあれもこれもと手を伸ばし過ぎて、何が本当に大切なのか分からなくなってしまえば、跡形もなく祈りは生活から消え失せてしまう。
今週は、不必要な欲望や自己防衛を丁寧にぬぐい落としていくこと。そうして、本来の自分らしい「祈り」を少しでも取り戻していけるかどうかがテーマとなっていくのだとも言えます。
今週のうお座へのキーワード
藤原定家