うお座
宇宙的放散
得体の知れない気持ちの良さ
今週のうお座は、『たくさんの吾が生まるるしやぼん玉』(津川絵理子)という句のごとし。あるいは、みずからのまとまりのなさをどこまでもおっぴろげていくような星回り。
単にしゃぼん玉を吹いている子どもを見かけたというのではなく、おそらく自分でみずからしゃぼん玉を吹いて遊んでいるのでしょう。
そうして、たくさんのしゃぼん玉が生まれ、そのそれぞれに自分自身が映りこんでいることに気づいた。掲句では、その「映りこんでいる」という部分は省略し、ただ「たくさんの吾(われ)が生まるる」と大胆に言い放っています。
確かにそうした方が、自分の世界がなんだか広がっていくようで、うれしくなってしまった感じがしますし、その根底には、自分という存在のなんだかよく分からない不思議さにまつわる感覚があるのではないでしょうか。
すなわち、パッと生まれてきては、みるみる間にすがた形を変えていったかと思うと、あっという間に消えてしまう不思議だったり、環境や相手によって色んな側面が出てくるけれど、どれがほんとでどれがうそという訳でもなく、ただ多面的な存在としてあるという不思議。そうした不思議さを、咎めたり疑ったり否定したりすることなく全開にしていくことの、得体の知れない気持ちの良さのようなものを、作者はここで感じているのかも知れません。
4月24日にうお座から数えて「放縦さ」を意味する9番目のさそり座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、「まとまらない人」としてのうお座らしさを本領を思いきり発揮していくことになりそうです。
新しい感情の発見
1977年に打ち上げられた2機のボイジャー探査機には、電子メッセージが積載されていましたが、そこには当時のアメリカ大統領ジミー・カーターの次のようなメッセージも含まれていました。
これは小さな、遠い世界からのプレゼントで、われわれの音・科学・画像・音楽・考え・感じ方を表したものです。私たちの死後も、本記録だけは生き延び、皆さんの元に届くことで、皆さんの想像の中に再び私たちがよみがえることができれば幸いです。
例えば、人類の送った音を聞いた異星人が、そこで初めて「愛」という感情を知る、といったことも全くありえない話ではないでしょう。
もちろん逆も然りで、それが音であれ、言葉であれ、イメージであれ、あなたが心動かされた何かは、全宇宙を覆う暗黒の圧倒的な断絶を乗り越えてあなたの元へ届いたメッセージであり、そうであるからこそ、そこであなたは新しい感情と出会うことができるのです。
今週のうお座もまた、自分が死んだ後にこの世に残しておきたい感情とは何だろうかということもぜひ考えてみるといいでしょう。
うお座の今週のキーワード
決して小さくまとまらない人