うお座
何を積み重ねていくべきか
観察とネーミングの賜物
今週のうお座は、『面体をつゝめど二月役者かな』(前田普羅)という句のごとし。あるいは、人間とは習慣を創造する生きものであるということを実感していくような星回り。
暦の上ではもう春と言っても、2月はまだまだ余寒の激しい頃合いであり、出かける際にはマフラーや手袋は必須という人も多いのではないでしょうか。
それで掲句でも「面体をつつめど」とあるように、マフラーを顔がすっかり覆われるくらい厳重に巻いている人が登場するわけですが、それでも役者ということは一目で分かるというのです。
いわゆるお忍び芸能人的な、普通の人ではないオーラが出ていたのか、それとも作者の鼻や耳が特に冴えていたのか。それにしたって、それをそのまま「きさらぎの面体つつむ役者かな」などと詠んだのであれば月並みな句で終わっていたはずで、その何だか分からないような相手を「二月役者」と表現してみせた尋常ではない一手に出たところが、掲句の生命線をわけた肝であったように思います。
ネーミングの妙と言ってしまえばそれまでですが、それをサッとこうして句にしていくためには、日頃からの観察だったり言葉の工夫の積み重ねがあってこその芸当でしょう。
2月6日にうお座から数えて「習慣」を意味する6番目のしし座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、これまで積み重ねてきた訓練や修業の成果が不意に表れてきやすいはず。
現代社会はただ生きてるだけで「修行」
情報の流通がますます速く、多くなっていく現代社会では、わざわざ山奥の寺に行って座禅を組むことで超越的に生きようとするまでもなく、情報の滝に打たれながら瞬間瞬間をやり過ごすことそのものが、否応なく「修行」となってしまっているように感じます。
つまり、私たちは日々普通に生活しているだけでも、どんどんエネルギーを発散させていくような身体性を求められている訳で、その一つの方法は「消費」による発散ですが、買い物や飲酒などの消費による発散ばかりに頼っていると、どこまでも情報に流され、混乱していくだけで、自由に泳げるようにはなりません。
かつてなら超能力の獲得だとか超人的な自分を作りあげるといった方向に魅力を感じる人も多かったように思うのですが、オウム真理教の教訓を経たいま、その人の身体を正しい方向に矯正するというよりも、その人が自然にあれるよう身体に刻まれた緊張を解いていくという方向にこそ、発散的な身体技法の活路が見出されるのではないでしょうか。
つまり、無理をして自分以上にならないこと、また身体のエネルギーのおもむくままにして、できるだけその邪魔をしないでいられる習慣づけが必要になってきているということ。その意味で、今週のうお座もまた、そうした力みのとれた素直な身体に近づけるべく、できるだけ身体のわがままを聞き届けてあげるといいでしょう。
うお座の今週のキーワード
過剰なエネルギーを上手に発散させる習慣を