うお座
重心を低める
清水選手のロケットスタート
今週のうお座は、「ロケットスタート」を成功させた清水宏保のごとし。あるいは、不必要な思案が消えていくことで、躊躇をなくしていくような星回り。
清水選手と言えば、低身長ながら長野五輪で金メダルも獲得したスピードスケートのトップ選手であり、その持ち味は幼少時代から鍛え上げた筋肉をいかし、沈み込むような低い姿勢からスタートを切るロケットスタート。
スピードスケートという競技では、空気抵抗をいかに減らすかがとても重要になるので、他の選手より低い重心からスタートし、重心を上げずに滑ることで、体格差をものともしないスピードが生まれたのです。
この、「可能な限り低いところに自分の重心を置く」というのはやろうと思ってもなかなかできませんし、非常に心の鍛錬が必要とされます。
なんだかんだ、人は自分を大きく見せようとするものですし、目標と言われれば高く掲げるものと相場は決まっていますから。
ただ、今週に関してはどれだけ自分から余計な抵抗を減らしていけるかということが、あなたの大きなテーマとなってくるでしょう。
ゾーンに入るには
たとえば与謝蕪村に「不二ひとつうづみ残して若葉かな」という句がありますが、これなどはまさに、ゾーンの捉え方を示してくれています。
ここで「若葉」とは翻弄される生命の象徴であり、その力強さでもあります。
また「うづむ」とは、「すき間なく覆う、かぶさる」という意味の動詞ですが、これはすべてを思惑通りに進めよう、とか、すべてが分かってしまったかのような気になることの比喩とも言えます。
そして、どうしても「うづむ」ことがどうしてもできない領域というものがこの世にはあり、ここではそれが富士山にかけて「不二」として表されています。
つまり「善/悪」、「美しい/醜い」といった、二元論を超えた先にある領域です。
こうした領域があるがゆえに、私たち自分や現実を覆うことができず、それゆえに先が見えず怖かったり、不安だったりするわけです。
一方でそこ(不二)があるゆえに救われることがある。
常に雪が残る富士山の頂上付近のように、意識できない「余白」部分が必ずあるのだから、そこを受け入れた上で、下にある若葉の緑に眼を向けていく。
今週はあれかこれかの判断は避けつつ、心身を研ぎ澄ましていきましょう。
今週のキーワード
不二の余白と若葉