うお座
花咲く方へ
生存戦略の切り替え
今週のうお座は、「敗北力」のモデルとしての祝島のごとし。あるいは、あえて勝たないし、負けないやり方を選んでいこうとするような星回り。
瀬戸内海に浮かぶ小さな島で、人口が400人ちょっとしかいない過疎と高齢化のすすんだ地域でもある祝島は、30年におよび原発反対闘争を続けながらも負けていない稀有な事例なのだといいます。
それはこの島が、地元の産物を売ったり、ゆるキャラをつくったり、観光客を呼び込もうとして競争に勝とうとするのでなく、人口減少と高齢化を受け入れたから。それでもこの島の雰囲気が暗くないのは、原発に象徴されるエネルギーモデルとは違う新しいエネルギーモデルを実際に作り出していることと、縮小して小さくなった共同体を互いに支え合うことで、そう遠くないうちに消滅するだろうまでの期間をいかに有意義に過ごすかに資源を投入していったことが、大きく影響しているのだとか。
つまり、負けを受け入れ、経済競争から降りることで、生きる戦略を変えたわけです。面白いのは、そんな島にこんな場所で生きたいという若者が移住してくるようになって、かえって人が戻ってきたこと。こうした“弱さ”をてこにして繋がっている共同体のカギになっている思想を、文化人類学者の辻信一は「敗北力」と呼んでいました。
同様に、18日にうお座から数えて「取り組むべき課題」を意味する7番目のおとめ座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、どうしたらそんな風に敗北力を発揮していけるかということがテーマとなっていきそうです。
共同存在的な感覚
人間は、より大きな全体の一部としてあることで初めて、存在し続けていくことができますが、それは閉じて自分を守ることに慣れてしまった人にとっては、とても恐ろしいことのように映ります。
自分を開いたら、大事なものを傷つけられ、価値を奪われ、草をむしるように花を摘まれ、そのへんにポイ捨てされるのではないかと、都会の競争社会に慣れきった人はつい考えてしまいがちですが、今週のうお座はどうかぜひ、そうした人間中心の世界から1歩外へ出て、「花咲く樹木」になったつもりで過ごしてみてください。
例えば、何かの拍子で地上近くの枝が折られ、花がダメになったとしても、樹そのものの価値が減ることはありません。花は樹上のいたるところで咲き、その花のどれもが自分であり、また花粉を運ぶ虫たちや、花を愛でに集まる人間たちの中にも、花は存在し、やはりそれら全体が自分でもある。そこには樹を構成する部分同士で競争はありません。競争が内側から共同体を滅ぼしていくということが、よく分かっているのです。
今週のうお座もまた、そんな共同存在的な感覚を通して、「負け」の要素を損得で捉えるのではなく、ごく自然なこととして受け入れてみるといいでしょう。
うお座の今週のキーワード
自分だけは助かるかもしれないという幻想