うお座
何が身の内に生きているか?
土方巽の問いかけ
今週のうお座は、「命がけで突っ立った死体」のごとし。すなわち、根源的な問いかけを自分に向けることで変容を迫っていこうとするような星回り。
この言葉は1960年代から80年代にかけて活動した暗黒舞踏の旗手である土方巽の、「舞踏とは何か?」というテーゼへの答えとして知られる言葉です。
しかし、これは矛盾した不思議な言い方であり、死体が命がけで突っ立つことはできません。命がけで生きることはできるけれど、死体である以上いのちはかけれない。不可能なんです。つまり、これは答えとしてすんなり受けとられて終わるような答えではなく、それ自体が屈折し矛盾した問いかけなのであり、それを通して今まで身体というものを自分たちがどういう風な見方で切り取ってきたのかを訴えかける試金石でもありました。
ラジオ体操や学校の体育教育で一定の規格を与えられた身体、西洋医学的に定義された健康をつねに基準にしている身体、あるいは、そういう通常の生存スケールで切り分けてきた身体ではない、異相や異界を孕んだ深層的な身体性。
土方巽は、おまえは馬だとか、おまえは奴隷であるとか、次から次へと言葉で誘導し、撹乱していくことで既存の身体位相を壊し、変容させるということをやっていった訳ですが、そうした根源的な問いかけあって、その派生として踊りが生まれていったのです。
7月28日にうお座から数えて「浄化と循環」を意味する12番目のみずがめ座に逆行中の木星が戻っていく今週のあなたもまた、すっかり社会に飼い馴らされて回収されてしまった問いかけを再燃させていくべし。
ヒカルの「霊の喪失」体験
『ヒカルの碁』という漫画をご存知でしょうか?簡単に言えば、平安時代に平安時代に天皇の囲碁指南役をしていながらも謀略により自死した稀代の碁打ち・藤原佐為の霊が、ひょんなことから現代を生きるごく普通の少年に憑依したことがきっかけで碁を打ちはじめ、やがてみずからの意志でプロの棋士を目指すようになっていくというビルドゥングスロマンなのですが、これは今のあなたにとっても実に示唆的なストーリーとなっていくはず。
初めこそ憑りついた霊の指示に従いながら半ば嫌々碁を打っていた主人公が、次第にそこに自分のアイデアや閃きを取り入れ始め、ある時不意に霊が消えてしまったことで、その喪失感から碁自体をやめるか懊悩した挙句、再び自分の意志で碁を打つようになっていく。
主人公の成長の分岐点は、明らかにそんな「霊の喪失」にあった訳ですが、これを個人の人生に置き換えるなら、「幸運な偶然や周囲からの導きがなくなったとき、そこで自分に何ができるのか?」という問いかけになるでしょう。
そして今週のうお座もまた、人生という盤面で起きている風向きの変化を感じつつ、手持ちの駒をどう動かしていくべきか、そこで何ができるのかが問われていくでしょう。
うお座の今週のキーワード
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