うお座
蜘蛛の糸を辿る
ベーコンの画業を支えたもの
今週のうお座は、肖像画を描くフランシス・ベーコンのごとし。あるいは、執拗に、繰り返し向かっていくべきものを見出していくような星回り。
ピカソと並ぶ20世紀を代表する画家フランシス・ベーコンは、長年にわたる画業の中でも肖像をもっとも重要かつ困難な仕事と位置づけていたそうです。それは、愛する(した)ものたちしか描くことができない上に、それこそが最も困難だと感じていたから。
彼はキャリアの最初期こそモデルを前に制作を行っていましたが、後にむしろアトリエに一人で、写真や記憶を頼って描くようになっていきました。その理由について、彼はリアルなかたちを記録するための歪曲がモデルを傷つけることになるからと弁明する一方で、「友人でなければ、こんなに暴力的にはできない」とも漏らしていたそう。
「私は対象を、見た目よりもずっと歪めて描こうとしています。しかしそれは、本当の姿かたちを記録するためにこそやっているっことなのです」
「芸術とは生への執着なのだと思います。そして私たちは人間なのだから、私たちがもっとも執着するものは、つまるところ人間なのだということです。」
彼は同性の恋人が自殺未遂事件を起こしてから実際に自殺してしまうまでの3年間にわたり、その肖像を執拗に描いていたこともありましたし、死後もたびたび亡き恋人の絵を描いていました。
20日にうお座から数えて「流儀」を意味する6番目のしし座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、自分なりの仕事やそのやり方について改めて情熱を燃やしていくことになりそうです。
選択の再確認
まったくあべこべな話ではありますが、人生の「わかれ道」を通るためには、人は何かを選ばなければなりません。例えば、「記憶のないまま電車の乗り換えをこなして帰宅した帰り道」といったシチュエーションならば、自分の部屋へ帰るのか、それとも実家へ帰るのか、はたまた彼氏彼女や友達の家へ泊まるという選択肢だってあったかも知れません。
結局、自分が選択したのはここだったのか、と後から意識が追いつくことになる訳ですが、それだって本当はそんな予感がしていたのだと思います。
酔うと、どんな人間でも人恋しくなってくるもので、野生の血よりは、ふだんは忘れていた人間的なつながりを思い出させてしまうのでしょう。
あなたが「人間的つながり」を思うとき、真っ先に思い浮かべるのは誰であって、誰ではないのか。そして、その先に展開されていく現実はどんなものなのか。ひとつ、またひとつと、重要な選択を既にあなたは始めているのかも知れません。
今週のうお座は、自分が既に選んでいたはずの選択肢を改めて選びなおしていくような、そんな感覚が不意に深まっていくことでしょう。
今週のキーワード
生への執着