うお座
夢うつつこそ我が人生
虚実の交錯
今週のうお座は、江戸川乱歩の「うつし世はゆめ よるの夢こそまこと」という言葉のごとし。あるいは、世間がどうであれ自分にとっては大切なものの在り様を見定めていくような星回り。
よく考えれば当然のことだが、人間は本など一冊も読まずとも生きていけるし、少なくとも小説などのフィクションなどまったく読まず、それでいてごく普通の人生を送っているという人も少なくない。
しかし、一方で冒頭の乱歩の言葉をそのまま自分事として生きている人もいるのだ。本を読んでいないときの自分が「表」や「建前」の人生だとするなら、本を読んでいるときこそが「裏」や「本音」の人生で、しかも一冊ごとに違った人生を生きていく、といったように。
いや、どちらが裏でどちらが表かなどということは、本質的にはどっちでもいいのかも知れない。二重生活をしていて、それらが離れては交錯しつつ、入れ替わっていくといったリアリティーとの距離感こそがたまらなく魅力的なのだろう。
だから、読むだけで終わらせずに役立てようとか、本を読むために使った時間の元をとろうだとか、そういったアウトプットにまつわる話というのはあくまで余禄であり、副産物に過ぎない。
30日にうお座から数えて「心の基盤」を意味する4番目のふたご座で月蝕の満月を迎えていく今週のあなたにおいて、例えばそんな本を読むことに相当するものは一体何なのか。改めて問い返してみてほしい。
変身あれこれ
美少女戦士セーラームーンをご存知だろうか。普通の高校生である月野うさぎが正義の戦士セーラームーンに変身するとき、光に包まれて一瞬だけ裸になるシーンがあるが、今週のうお座の星回りを見ていると、そのシーンを思い出す。
子供の頃は、普通の人が戦士に変身する際の、脆さと恍惚とが危ういバランスで同居しているような、あるいは、真実が一瞬そこに現れているような、そんな気持ちになったものだが、大人になってみるといかにそうしたバランスを両立させ続けていくことが難しいことなのかを実感させられるようになった。
なぜなら、大抵の人はみずからの脆さや傷つきやすさを覆い隠し、なかったことにしようと、化粧や筋トレ、出世や結婚などによって変身をしようとしていく訳だが、その点、セーラームーンはまったく違う。脆さや傷つきやすさを認識し、開示していく中で感じ得た恍惚を通して、新しい自分の顔を表出していこうとしているのだ。
今週のうお座もまた、そうした2つの種類の変身があることをよく理解しつつ、後者の変身を選択していくことを意識して過ごしてみるといいだろう。
今週のキーワード
自分に魔法をかける