うお座
一頭の馬駆けゆきて
夢がなる
今週のうお座は、「青銅の馬身の如く冬来る」(仙田洋子)という句のごとし。あるいは、一頭の雄渾な馬となって疾走していこうとするような星回り。
騎馬像の馬には、とぼとぼと下を向いて歩く姿は似合いません。
今にも駆けだしそうに前足をあげ、手綱を引かれつつも、みなぎる筋肉や蒸気する汗のなか、冬の冷たい風をたてがみで受けている。そんな姿がイメージされてくるはず。
シンボリズムの世界では、馬は生命と死、太陽と月といった対立する二者をどちらも象徴する存在として、魔術的な先見力や知性、高貴さをあらわす象徴と考えられてきましたが、特にシャーマニズムの伝統においては、馬は魂の導き手(プシコポンポス)であり、この世とあの世、あの世とこの世の移行を象徴していました。
そして冷たい青銅に凝固した姿で、冬の到来を敢然と引き受ける掲句の馬の姿は、まさに今のうお座そのものと言えるでしょう。
29日にうお座の守護星である海王星が順行に戻り、逆行していたこの5カ月のあいだに貯め込んだエネルギーを一気に解放していこうとしている今、あなたはこれまでに夢見ていた確からしい夢を現実の中に見つけていくべく、スタートを切ろうとしているのだと言えます。
驚くための準備はできているか?
たとえば、産まれてくるときの赤ちゃんというのはどんな感じでこの世に生まれてくるのでしょう。
おそらく肩を張ってがむしゃらになり過ぎている訳でもなく、かといって子宮に固執してイヤイヤしながら引きこもろうとしている訳でもなく、自分の身に訪れた環境の変化をごく自然に受け入れつつも、全身でそれに驚いているのではないでしょうか。
より厳密に言えば、赤ちゃんというのはつねに世界に開かれており、その結果として驚くための準備ができている。実際、赤ちゃんに特有の性質として、新しいものに気付いて、新しいものに注目し、確実に手を伸ばして届くものに、好んで手を伸ばしていくといった「新奇選好」という傾向があって、ある意味で、脳が完成された大人が「古いもの好き」であるのと正反対な、こうした強烈に傾いた「好み」から赤ちゃんの世界は広がっていくのです。
これでまではどこか間接的な手段や道具を通して感じていた変化の流れのようなものを、今週は<未知なる自分>として、直接肌で感じとることができるかも知れません。
今週のキーワード
新奇選好