うお座
火と水の激しい交わり
寒中の梅を咲かせる
今週のうお座は、「寒梅や火の迸る鉄(まがね)より」(与謝蕪村)という句のごとし。あるいは、自分を鍛え上げていく上での仕上げをさっと施していかんとするような星回り。
梅は冬の終わりから春の初めにかけて咲く花。ただし、まだ冬の寒さが残るうちに咲く「寒梅」は、鍛冶屋が打つ真っ赤に焼けた鉄から飛び散る火花のごとく、冷たい空気と熱とが激しく交わって初めて開くといいます。
作者は俳人以前に画家であり、おそらくは「鉄骨」という梅の枝を写す画法をヒントに掲句を詠んだのでしょう。
古来より製鉄は祭祀と密接に関わりをもち、すなわち国つくりの根幹にも深く関係してきた古代国家において最も重要な金属でしたが、真弓常忠氏はさらにイザナギ・イザナミの二神こそ古代の鉄文化を象徴する神だったという大胆な説をも唱えています。
その意味で、寒中の梅を咲かせていくことはひとつの儀式であり、国つくりの原点にも重ねられる非常に重要なイメージであるとも言えるのかも知れません。
立春に続き、10日(月)にはうお座から数えて「反省と鍛錬」を意味する6番目のしし座での満月を迎えていく今週のあなたもまた、弱いところや傷ついているところを無視せずにケアし、今の自分自身に欠けている不足部分を補っていくことがひとつのテーマとなっていくでしょう。
「聖戦(ジハード)」
「誰と対せど、何に向えど、 その一切は自己との戦い。 償いの果て巣立ちを目指す、 心の悪(不調和)との戦い。」 (橋龍吾、『銀河飛行』)
鉄のイオンの色である赤色は、血の色でもあり、すなわち鉄は戦いを連想させる物質でもありましたが、「血は水よりも濃い」というように、私たちが自分が何者であるかを知っていく上でも、鉄や製鉄文化はとても重要な役割を果たしていくように思います。
ケアとは「心の悪(不調和)との戦い」に他ならず、それを経なければ決しておのれを知るということもないはず。
今のうお座には、他の何よりもまず自分自身と誠実に向き合うこと。それを意識して過ごしてみてください。
今週のキーワード
「血は水よりも濃い」