うお座
月並を破って
定型から口語自由詩へ
今週のうお座は、宇多田ヒカルの「Automatic」の歌詞のごとし。あるいは、自分の感情を類型的なパターンにはめこむのではなく、もっと自由に、個性的に表現していこうとするような星回り。
彼女が15歳のときに作られたこの曲は、歌詞の面から見ても、口語体でできた純粋詩人の作品に近く、非常に優れたものと言えます。
彼女の作詞には曖昧さがなく、ひとつひとつの言葉に強い選択力を感じるのですが、それでいて押し付けがましくなく、「あなたの自由にしてくれていいよ」という感じが伝わってきます。
英語のフレーズも、女性の心情を歌おうとするとどうしても類型的になってしまいがちなところを絶妙にかいくぐって、結果的にとても豊かで個性的な表現になっている。
彼女の曲が大ヒットした要因のひとつには、そうした彼女の作詞力の影響もあったのではないかと思います。
22日(日)に冬至を迎えていかんとしている今週のあなたもまた、定型から口語自由詩へとスライドさせていった宇多田ヒカルのように、自分なりの個性を月並を破るカタチで表現していきたいところです。
「は」と「も」の違い
ナルシストというのは、誰かを愛しているふりをしながら、本当に愛しているのは自分だけで、しかもその事実に自分では気付いていない人のことを言いますが(だからこそ結果的に人を騙し利用して簡単に捨ててしまう)、悪人とナルシストの違いがあるとすれば、そうした自分への自覚の有無に他ならないでしょう。
もちろん、ナルシストと言っても表現者として大いにプラスに働くこともあり得る訳で、それはすなわち自分「は」でなく、自分「も」であるが、それとなく伝わってくる場合です。
「Automatic」の歌詞にも、嫌なことがあった日「も」という箇所がありますが、これは良いことがあった日はもちろんだけど、そうでない日でさえ、というニュアンスを端的に表現していて、「は」であった場合を想定すると、より大きなアクセントになっていることが分かるかと思います。
こうした「も」での相手との繋がりは、島同士を固定的に結ぶ橋である必要はなく、さながら島を行き来する連絡船の航路のような、ゆるやかさや自由の余地を感じさせるのです。
今週のあなたもまた、そうした勘どころを掴んでいけるかで大きく左右されていくように思います。
今週のキーワード
行間を固めないこと