うお座
響きあうことで結びつく
ほつれた糸を繕うように
今週のうお座は、「春雨といふ音のしてきたるかな」(鷲谷七菜子)という句のごとし。あるいは、目に見えない絆を結び直していくような星回り。
うお座で新月が形成される今週は、あなたにとって非常に重要な節目であり、「移り変わり」ということが強く意識されるタイミングとなっていくでしょう。
その際に大切にしていきたいのが、掲句全体に満ちているような“感じ”そのもの。
句意としては春先に雨の音が聞こえてきたというそれだけの話に過ぎないのですが、この17音には明らかにそうした事実をこえた艶やかな空気が息づいているのです。
それは「春雨といふ音」と言うとき、単にこまやかに降り続ける春の雨のことだけを指しているのではなく、「は・る・さ・め」という言葉の4つの音が降る雨のそれにきわめて近いこと。
そして両者の音が響きあいながらそこに微細な共振が生じ、それに包まれてゆくことなどを同時に言い表していることとおそらく無関係ではないはず(試しに、掲句を口に出してとなえてみると、そのことがよく分かるのではないでしょうか)。
今週のあなたもまた、自分が1個の独立した個人であると同時に、大いなる呼吸の1部として現に息づいている存在であるということを、よくよく思い出していきたいところ。
真事と真言
例えば私たち全員の中にも、残忍さだやずる賢いもの、世間の普通の枠には収まりきらなかったものが潜んでいる訳で、そう考えるほどに「〇〇はよい人だけれど、△△はわるい人だ」とは安易には言えなくなっていく訳ですが、ましてや自分のことに関しては特にそうでしょう。
でもだからこそ、自分ひとりでは矛盾や欠陥をもったパズルの1ピースのごとき個人として在らざるを得ない私たちは、自分とぴったりハマる<まこと>の関係を求め、あるいは不完全な関係性の中に<まこと>を立てていこうとするのかもしれません。
<まこと>は漢字で「真事」とも書けます。例えば、孤独ということも、誰しもが避けては通れないという点で<まこと>でしょうし、一方で宇宙と自分とが調和してなんだか不思議な偶然が続くのも<まこと>でしょう。
<まこと>には、かならず運命感覚とも呼ぶべき、なんというか「こうあるべくしてそうなった」必然性への直観がついて回るのです。
もちろん、裏付けなどないでしょう。けれど、深い直観に紐づいた言葉というのはやはり「真言」であり、その響きはおそらくあなただけでなく関係を結んだ相手にも調和を与えていくはず。
今週はできるだけ自分の直観を信じて、<まこと>の関係を感じていきましょう。
今週のキーワード
必然性への直観