うお座
運命みたいな冬
新しい私が立ちあがっていく
今週のうお座は「いつ顔を上げても冬の真正面」(日隈恵里)という句のごとし。あるいは、いつもと違う実感を自分の中に見つけていくような星回り。
下を見ながら歩いていて、ふと顔をあげたら雪が降っていたり。待ち合わせ場所で本を読んで待っていて、気配がして顔をあげたら、マフラーを巻いた恋人がそこにいたり。
「冬の真正面」と表現することで、冬という季節がまるで生きているかのように、自分を待ち受けてくれていたのだいう気がしてくる。
そしてその瞬間、こちらも背筋が伸びるような感じになっていく。それまでくしゃっと丸くなっていた背中に、一本の串が通っていくみたいに。
季節が、冬が立体的に立ち上がっていく時、同時に新しい私が立ちあがっていく。ちょうどそんな実感が、今週のあなたにはやってくるかも知れません。
ヒイさまの視点
映画『もののけ姫』の冒頭で、村のシャーマンである老女ヒイさまは、
「誰にも運命はかえられない。だが、ただ待つか、みずからおもむくかは決められる」
と断った上で、
「西の土地でなにか不吉なことがおこっているのだよ。その地におもむき、曇りない眼で物事を見定めるなら、あるいはその呪いを断つ道が見つかるかもしれぬ」
とアシタカに申し渡し、そこから彼をめぐる一大叙事詩は始まっていきました。
言ってみれば、今週はこうした自分の置かれた状況(特に人間関係)に対する、冷静でバランスのとれた全体像をいかにして得られるかということが問われていくタイミングなのだと言えるでしょう。
そして、自分がどこかの時点で下していた判断が間違っていなかったのだという確信を得ていくのです。
さながら、冬がくる前に蓄えておいた食料をそっと味わうかのように。
今週のキーワード
運命が立ちあがっていく感覚