うお座
ささやかに満たされるために
足もとを掘り下げる
今週のうお座は、死線をくぐって戦地から帰還した兵士のごとし。あるいは、結局どこに足をつけて生きていけばいいのかということを、確かめていくような星回り。
戦争体験記などを読んでいると、人間死ぬか生きるかというところまで来ると、自分の本当の幸せというのは一体何なのだろう、ということを自然と考えるようになっていくのだと感心してしまいます。
そして今週のあなたもまた、どこかでそうした死線をひとつ越えられるかどうかが問われてくるでしょう。それは直接戦地に行かなくても、そういうことは可能なのです。
例えば、キリスト教徒でありながら「偶像崇拝は馬鹿らしい」というきわめてリアリスト然とした側面ももっていたゲーテなどは、
「霊魂不滅を信ずるものは、ひそかに幸福にひたっていればいいので、それを自慢するいわれなどない」
とはっきり述べていました。
本当の幸せということも、突き詰めていけばそういうところに行きつくものなのでしょう。ただ、霊魂不滅という教義を知っているというだけではダメなのです。
やはり現にいま自分の立っている足元からはじめて、ああでもない、こうでもないと泥臭く掘り下げていくのでなければいけない。
おとめ座新月から始まる今週を有意義な時間にできるかどうかは、そうしたところにかかっているはずです。
家路を照らしてくれるもの
例えば、あなたの握っているリードをグイと引いてくれる犬。
そういう犬というのは、人間のエゴイズムをすべて受けいれ、ときどき主人の手に噛みつきながらも、夕暮れ時になれば「帰ろうか」と促してくれる自然なやさしさを持ち合わせています。
生きているかぎり、人は目に見えない首輪をはずすことなどできず、つながれた場所へと帰っていく他ないのです。
そういう悲しさと滑稽さが混ざった感情というのは、どこか人を子供時代へとタイムスリップさせ、童心に帰らせます。そこにこそあなたの気持ちを再び弾ませ、大切なものに気付かせてくれるヒントが現れてくるでしょう。
今週は、ささやかな楽しみや小さな幸福を求め、それを照らしてくれる「帰り道」を見つけたら、まっすぐに歩を進めていくこと。
今週のキーワード
家路につくように掘り下げていくこと