うお座
再発見の新鮮さ
不意に理解してしまうということ
今週のうお座は、「世の人の見つけぬ花や軒の栗」(松尾芭蕉)という句のごとし。あるいは、不意にこれまで何とも思っていなかったようなものに価値を見出していくような星回り。
句意は、「世間の人の賛美しない花であるなあ、主が軒に咲かせている栗の花は」といったところだろうか。
これは一生を旅に捧げた漂泊者芭蕉が、隠者として栗の木の下で庵を結んで隠棲していた僧・可伸の価値を改めて発見し、彼に贈った句とされている。
しかし、価値を発見したとは一体どういうことなのか、個人的には今ひとつ判然としなかった。
しかし、7月から東京国立博物館で始まった縄文展を見に行ったことがきっかけで、縄文時代では栗は貴重な食糧源としてだけではなく、水湿に強く耐久性もある優れた建材としても大変重宝されていたことを知って、急に見方が変わった。
つまり、まだ弥生や縄文の考古学的な発見がなされるずっと前に、芭蕉は優れた直感によって稲作文化よりもひとつ古い、木を頼りにしていきる文化の存在を感じとっていたのではないかと。
今週のうお座のあなたにも、9月10日の乙女座新月を前後して、ちょうど筆者と同じように、ふいに何かの価値が腑に落ちるようにして分かってしまう瞬間が訪れるかもしれません。
既視感の不思議
もし宇宙生まれの子供が生まれる時代になれば、自分たちのルーツである地球へ大人になってから初めて訪れようとする人も出てくるかもしれませんね。
おそらく、その時に彼らが感じるのは、視界いっぱいに飛び込んでくる光景に対する既視感と新鮮さの不思議な融合でしょう。
そして、そんな未来の彼らと現在を生きる私たちは、物事に本当の意味で「新鮮さ」を感じるには、最初の発見時ではなく「再発見」の際であるという点で、根本的には同じなのです。
未来の少年少女が地球に既視感を抱くように、現在の私たちも現在の地球や周囲に広がる光景に既視感を抱くことがあるはず。
今週のあなたは、時空を越えたところで自分が既に経験しているはずのものへと、力強く思いを馳せていくことができるでしょう。
今週のキーワード
温故知新