てんびん座
真実味のあるキャッチボールを
林檎を投げる
今週のてんびん座は、「林檎投ぐ男の中の少年へ」(正木ゆう子)という句のごとし。あるいは、固められた常識やルールの外にあるものへと、対話のほこ先を向けていくような星回り。
掲句は、男が大勢いて、その中にまぎれている少年へ林檎を投げたのではない。あくまで相手はひとりだ。男の中に隠れている、少年性へ向かって投げたのだろう。
おそらく、男がキャッチするときに子供っぽい茶目っ気を見せることをあらかじめ知っていて、投げている。そうすることがただただ、楽しいのだろう。
これが男女逆ならばこういう光景は自然には浮かんでこない。
女の中の少女性よりも、男の中の少年性のほうが、容易に垣間見ることができるのは、多くの男がパブリックな場では「よそゆきの顔」を強いられているからか。それとも単に、男の方が甘えたがりなだけなのか。
いずれにせよ、大人の男同士の会話というのは得てして息が詰まるものだ。絶えず格好つけていなければなめられると、皆どこかで戦々恐々としているのかもしれない。
今週は相手の秘められた顔や、いきいきとした未知の部分を、鮮やかな赤色を差し込んでいくようにして引き出していくことが、てんびん座にとってテーマとなっていくでしょう。
「コレスポンダンス」としての対話
日本の戦国時代の武将に、山中鹿之助という人物がいました。毛利氏に滅ぼされた山陰地方の戦国大名・尼子氏の遺臣です。彼は月と交信できる能力を持っていました。
そんな鹿之助の最も知られているエピソードと言えば、自国が攻め滅ぼされようとしている状況の最中で、なんとか尼子家を復興しようと、月に向かって「われに七難八苦を与えたまえ」と祈ったという話でしょう。
これこそが社会的価値観を超えて、真の世界と響きあうコレスポンダンス(照応)であり、今週のあなたが目指すべき対話のあるべき姿なのだと言えるかも知れません。
今週のキーワード
自分や相手の中の「月」と交信すること