てんびん座
楽しく仕事しようよ
嫌悪感の正体
今週のてんびん座は、「労働力は必ずしも商品ではない」という命題のごとし。あるいは、内に秘めたる社会運動への情熱に火がついていくような星回り。
思想家のルドルフ・シュタイナーは、100年以上前の講演録『職業のカルマと未来』の中で、すでに近代の労働者は経済的な現実のみが唯一の現実であると信じ始めていると述べているのですが、同時に、他ならぬ労働者が欲しているものの中には、決して経済活動のみによる結果としては現れないものがあるのだとも指摘しています。
近代の生活のなかではっきりと語られないもの、賃金労働者もはっきりと語らないものでありながら、社会の意志の根本衝動としてあまりにも明かなものが形成されました。それは「近代の資本主義経済は、流通領域のなかで商品のみに関心を持っている。経済有機体における商品の価値形成に関心を持っている。そして、労働者が、“これは商品であってはならない”と感じているものが、近代の資本主義社会のなかで一つの商品になった(…)」。つまり、労働者みずからの労働力です。
言い換えれば、労働者のなかに確かに存在する「労働力を商品とされることへの嫌悪感」こそが、近代の社会運動全体の根本衝動であり、それについて徹底的に語ることが出発点になるのだと言っている訳です。
6月21日にてんびん座から数えて「社会的自己」を意味する10番目の星座で夏至(太陽かに座入り)を迎えていく今週のあなたもまた、仕事の文脈でいつどんなときに嫌悪感を覚えるのか、そしてそれが何に起因しているのか、改めて誰かと話してみるといいでしょう。
語り合える時間が楽しい
先の「労働力は必ずしも商品ではない」ということは、例えば「同胞のために働くということと、ある決まった収入を得るということは、相互に完全に分離された2つの事柄である」ということについて考えてみると、幾らかわかりやすいでしょう。
後者は生活上の必要に関することであり、前者は本人の才能や知見の創造的な発揮、ないし生きがいに関係する事柄ですが、現代においては職業や地位によって所得や報酬が決まることが一般的となり、先のふたつが労働環境において混同されてしまうことで、生きがいが著しく制限されたり、生きがいに対する露骨な優劣の判定をみずから内在化してしまい、それが結果として嫌悪感の原因となっているのです。
まあ、「同胞のために働く」なんて言うと堅苦しいですが、例えば下北沢でシーシャ屋さんをやっていたある人は、「どうしてシーシャ屋さんをやっているのか?」と聞かれて、「色んな人と語り合える時間が楽しいからやっているだけ」と答えていました。
今週のてんびん座もまた、「生活上の必要」の文脈から外れたところで、自分が心から「いい仕事できている」と感じられる瞬間を思い出していきたいところです。
てんびん座の今週のキーワード
かすかな嫌悪感をスルーしないこと