てんびん座
軽みのある賭けをする
感じたままに
今週のてんびん座は、「蛼(こおろぎ)のなくやころころ若い同士(どし)」(小林一茶)という句のごとし。あるいは、難しいことは脇に置いて、ノリで誰かとつるんでいくような星回り。
「若いつれはいいぜ。かじりついたり、笑ったり、ころころしているわい。そういえば、こおろぎもいい声で鳴いている。ころころ、ころころ。」(『小林一茶―句による評伝』)
これは金子兜太による句意の書き下しですが、今週のてんびん座のあなたもまたこれくらいの“ノリ”でいけると。ちょうどいいのではないでしょうか。
その意味では、「若い同士」は何も男女のつれに限定されず、若気が醸しだされるような軽いノリを共有できる仲間という程度に解釈しておきたいところ。
俳句というものも、あまり故事や漢詩や先人の歌を意識し過ぎたり、理屈っぽくなってくると「軽み」に欠けて、感じたままの素直な喜びやみずみずしさが遠くなってしまいますが、その意味で作者の一茶が48歳でこの句を作ったのは流石と言えます。
ノリが合えば、必要な理屈が後からついてくる。今週はそれくらいのつもりで軽やかに過ごしていきましょう。
賭博の感覚
一茶に限らず、芸術家のひらめきというのはどこか「賭博」に似たところがあります。
つまり、今の一瞬を、過去の暗い淵へと落っことしてしまうか、明日の方へ積み上げていくかという、人生の分かれ道かというくらいギリギリのところに立っていて、それが作品の生き死にの分かれ目と直結している。
そういう「賭博の感覚」というのを、自分の仕事であれ恋人や友人との人付き合いであれ、実際の現実に込めていける人というのは、なかなかいません。
だから、もし今週あなたが、一度でもそういう瞬間に立てたのなら、自分を褒めてあげてください。
あるいは、そういう勝負をこれまでも何度かしてきたのだとすれば、それなりの経験を積んできたのだと自負してください。
そうして一息つくこともたまには必要ですし、そうであればこそ「軽み」や「ノリ」というものが自分を生かしてくるのだと思います。
今週のキーワード
芸術的ひらめき