てんびん座
宇宙的恍惚に開かれる
新しい扉を開く
今週のてんびん座は、「鳥交(さか)りたり潦まぶしくて」(加畑吉男)という句のごとし。あるいは、短くはかない一瞬の恍惚に感じ入っていくような星回り。
「潦(にわたずみ)」は水たまりのこと。雨上がりの、よく晴れた日中なのでしょう、水たまりの眩しい反射の中で、樹上で2羽の鳥が交尾をしている。
もちろん、水たまりの反射が眩しいことと、鳥が交尾していることは直接は関係していない。
しかしその眩しさがさながら鳥の恍惚感を表しているようで、反射光がチラつくたびに鳥たちの一瞬の喜びが伝わってくるようで、思わずこちらまで儚いような、切ないような、なんとも言えない気持ちになってくる。
ある意味、これぞ青春とも言えるような句ですが、てんびん座の守護星である金星が恍惚と一体感の海王星と重なっていく今週は、まさにそうした交歓によって新しい扉が開かれていくようなタイミングを迎えていくことができるはず。
臆せず力まず執着せず、そうした交わりを楽しんでいきましょう。
リズムを生きる
なお、いま自分が交歓すべき相手かどうか、という判断基準については、いわゆる「リズムが合う/合わない」という感覚が大切になってきます。
このリズムということについては、例えばメキシコの詩人であり外交官でもあったオクタビオ・パスなどは、
「リズムは拍ではない。それは世界のヴィジョンである。暦、道徳、政治、技術、哲学といった、要するにわれわれが文化と呼ぶあらゆるものがリズムに根差している」(『弓と竪琴』)
とまで言っています。
エッセイ集のタイトルも、「宇宙は弓や竪琴の弦のような緊張状態にある」という宇宙観に拠っており、さらにパスはそうした宇宙における人間の位置づけについて、次のように言葉を続けます。
「人間の神秘性は、人間が宇宙の秩序の一歯車、大協奏曲に一和音でありながら、同時に自由であることに存する」
つまり「リズムが合う」とは、自分という歯車の背後にある哲学や技術や道徳や言語などが何かしらハーモニーを奏でているということであって、性格がいいとか、社会的信用があるとか、なんてこととは一切関係がないのです。
今週は、そうした宇宙詩人的な基準とできるだけ自己一致させてみてください。
今週のキーワード
宇宙的であるとき人は人間臭くなくなる