しし座
まなざしを奥へひらく
夢は現在進行形
今週のしし座は、「夏草や兵どもが夢の跡」(松尾芭蕉)という句のごとし。あるいは、自分勝手なエゴをも包むなにか大きな自分へと、主体を明け渡していくような星回り。
功名と栄誉のために戦った兵ども、その忠臣たちも、ついには平泉の城に篭って討ち死にし、一場の夢の跡も今では夏の草むらと一体となった廃墟と化している。
そのことに思いを込めて読めば、掲句は一瞬の内にはかなく消えさる人間と、その跡に生えては枯れる悠久の時間とともに茫々と繁る自然の対比を、人間や人生のはかなさを詠んだものとするのがもっともらしい。
しかし、今はそんな他人事のような感傷に浸って満足している場合じゃないのだ、しし座のあなたは。そういう感傷的なイメージを呼び出してしまっているのは、他ならぬ今現在の自分自身なのだということに気づかなければならない。
つまり、今週は何か自分にとって大切な夢を勝手に「終わった話」にして感傷に浸るのではない。
あくまで「現在進行形の話」として、自分はどうしてこういう夢を見てしまっているのか、自分の中のなにがそうした夢を呼び出しているのかと、少しずつ視点を変えながら深層心理を切り開いていくということ。
砂遊びとしての人生
「人生もまた一輪の花のようにはかないものであるならば、友よ、砂の上にぼくらの家を建てて、遊ぼう」
実際に砂場や砂浜で作った大きな山にトンネルを掘って、向こう側をのぞいていると、存在するものの儚さと、それゆえの美しさのようなものが感覚的にわかるときがあります。
そんなことを思うと、時々大人が子どもみたいなことをしたくなるのも、もっともかもしれません。
今週は、現実の儚さを感じるだけにとどまりません。現実を生きることはある種の「砂遊び」であり、私たちにその機会を与えてくれる人生という舞台や、それを演出してくれる大いなる存在の豊かさへと目を向けていくことになるでしょう。
今週のキーワード
夏草=舞台、兵ども=役者、夢=脚本家