しし座
おわりをきめる
孤独の中で
今週のしし座は、「泉の底に一本の匙夏了る」(飯島晴子)という句のごとし。すなわち、変化の予感とケジメのつけどころを、見定めていくような星回り。
「了る」は「おわる」。「終わる」よりも、きっぱりとした完結のニュアンスが出る。何の、おわりなのか。
掲句の作者は、自らの死を自分の意志で決めたのだという。享年は79歳とのことだが、最後の方はもう体がきかなくなってきたと口にしていたらしい。
「泉の底」に沈んだ「一本の匙」の金属的な冷たいイメージは、いのちが盛る夏がおわり、もう既にそこまで来ている秋をどこかで予感させる。夏はもう過去なのだ。
人間は生まれてくる時もひとり、死ぬときもやはりひとり。誰かと一緒に死ぬことなど、決してできないのだという事実を念頭におくと、孤独の中で自らの死を見定めた作者の決別の想いに、静かにして激しいものを感じざるをえない。
やはり一切の言い訳のない決断というものは、かならず孤独の中で行われなければならない。今週のしし座は、どこかでそれと似た決断を、たったひとりで行っていくことになるかも知れません。
ラクダのように
人生が終わるその時まで、誰かに側にいて欲しい、支えて欲しいと願うのは、人間にとってごく当たり前の要求のように思えます。
けれど、もしかしたら人生という長い旅を続けるために作られたあなたの体には、もともと自給自足するためのエネルギーや自信の源が蓄えられていたのかもしれません。
それは誰かに支えてもらうことを前提として体を使っている内はほとんど使われることのなかった魅力の源泉であり、その泉から潤いを汲むようになるにつれ、あなたはこれまでとは異なる魅力を放っていくはず。
孤独の中で、自分の力を確かめてください。誰かの手を借りるのは、それから先の話です。
今週のキーワード
静かに、激しく