しし座
臆病者に試練現れり
ナルシスの誘惑
今週のしし座は、『オズの魔法使い』に出てくる「臆病者のライオン」のよう。
トルネードに飛ばされて魔法に国へ運ばれてしまい、家に帰る方法を探す少女ドロシーに促され、知恵がないカカシ、心を持たないブリキ男と一緒になって、最後に旅に加わるあのライオンは、「森の動物たちの期待に応えるだけの勇気が自分にはない」と悩んでいました。神話やおとぎ話などでは、登場人物が現状の欠損に気付き、それを回復せんと志向するところから旅が始まることが非常に多いのですが、今週のあなたもこれまで明確に気付けていなかった欠損や喪失が、自分にもあることに思い当たる、ということが起きてきそうです。
あるいは、そうした自身の暗い面から意識を逸らせるための代償的な行為として、過剰な自我膨張としての「ナルシシズム」の気が出てくるかも知れません。
真のナルシシズムはそうした形での自己喪失の内にあるのです。
森に帰ろう
自己懐疑や羞恥心、傷つきやすさを感じていしし座の内には、たいてい未消化の欲求がうごめいています。たとえば子供は親に英雄のように、あるいは超人のようにあって欲しいと望むものですが、しし座の場合は特にその傾向が強かったりします。
もし自分の子ども時代を回想した際、その種の落胆や失望の記憶が思い出され、まだじくじくと気持ちが疼くなら、あなたはやはり「臆病なライオン」です。
自分がどれだけ不幸かを語ることで得られる安心よりも、どれだけ幸せかを語る素直さを、今こそ臆病者は問われている。そんなふうに考えてみてください。
今週のキーワード
ナルシシズムと自己喪失、L・フランク・ボーム『オズの魔法使い』、未消化の欲求、幸せを語る素直