しし座
力みを捨てる
軒の栗
今週のしし座は、「世の人の見つけぬ花や軒の栗」(松尾芭蕉)という句のごとし。あるいは、世間の常識とは距離をおき、あくまで自分独自の考えを貫いていくような星回り。
「栗」は「西」にある「木」と書きますが、西といえばそのはるか先に浄土(あの世)の広がる方角であり、物事の終わりや死を象徴するものとして、あまり意識したくない避けるべきものと言えるかもしれません。
実際、栗の花というのは見ていてもあまり気持ちのいい形の花ではありませんし、その独特の臭いを嫌がる人も多い。
しかし、得てして根源的な視点に立ち返らせるものというのは人々から避けられるものである一方で、そういうものを「軒」の下のわが日常として生きる生き方だってある。
実際、芭蕉にはどうもそうした人生の屈折に深く惹きつけられ、愛するところがありました。
今週はそんな芭蕉に寄り添うように、少しあまのじゃくに過ごしてみるくらいでちょうどいいでしょう。
置かれた場所で咲く花は
野に咲く花は、なぜか見る者をハッとさせてくれます。もうね、存在自体が美しい。自分がどれだけ不安かを語るより、自分の幸せを信じて疑わない素直さがそこにあるから。
花はそもそも誰のために咲くのでもない。自然とそうすることがおのれの定めだと分かっているのだと思います。
それは不自由でしょうか? 不幸なことでしょうか? どう見てもそんなふうには思えません。
だから我々はハッとするのかも知れませんね。自分のための恋。そんな花を、成り行き任せで咲かせましょう。
今週のキーワード
誰の為でもなく花は咲く