しし座
平凡で、かけがえのない或る日
パノラマの浮上
今週のしし座は、『暑き日の続く或日の秋まつり』(岸本尚毅)という句のごとし。あるいは、眼下に広がる景色の全体像を一望していこうとするような星回り。
近所の神社で秋祭りが行われていたという、ただそれだけの一句。秋祭りはもとは豊作を祝う豊穣祭でしたが、都市化がすすんだ現代ではその面影はもはや薄く、サラリーマンであった作者にとってもあっという間に夏がすぎ、秋が来ていて、たまたま祭りが行われていることに気付いたのでしょう。
そのいかにも現代人らしい鈍さと、個人的な軽い驚きとを、悲嘆に暮れる訳でも過剰に感動的になるでもなく、あくまで淡々と伝えるために紡がれた「暑き日の続く或日の」が、この句の命脈となっています。
何やかやと目の前のことに追われる慌ただしい日々を送り、いつのまにか歳を取っていくなかで、飛び上がるほど喜ばしく世界が輝いて見えるような時もあれば、つらいことや苦しいことで心が暗く重く沈んで、世界が色褪せてしまっているような時もあったはず。
掲句の「或日」とは、ごく平凡な日常としての一日であると同時に、人生の酸いも甘いも知った上でやっと迎えることのできた待望の一日でもあって、作者は「秋まつり」と口にした瞬間、その事実にふと思い至ったのではないでしょうか。
8月26日にしし座から数えて「中長期的なビジョン」を意味する11番目のふたご座で下弦の月(意識の危機)を迎えていく今週のあなたもまた、自身が乗り越えてきた悲喜こもごもの道のりついて俯瞰的に捉えていくことになりそうです。
明晰夢のなかで
「明晰夢」という現象を知っているか、あるいは実際に体験したことがあるでしょうか。
この比較的珍しい覚醒状態にあるとき、私たちは目を覚ましている時と同じように夢の中で行動できるし、自由に自分の意思も、想像力も、記憶さえも使うことができます。
それどころか夢の要素がどのように広がっていて、どこに何があるのか、動き回って調べることもできるし、そこで学び、癒され、もう一つの現実に目覚めることもできるのです。
今週のしし座の人たちは、いわばそんな「明晰夢」を見ている状態に近いのだと言えるかも知れません。それくらい本能的な直感が活性化しやすく、それは普通ではあり得ないような状況に置かれるほどに発揮されやすいと言えます。
もちろん「明晰夢が見れたからって、一体何の意味があるのか?」と多くの人は疑問に思うでしょう。
けれど、いま理解している現実より大きなものがあるという認識には、それこそ人生を変えるほどの力があり、それは理屈では決して伝わらない感覚的なものなのです。
しし座の今週のキーワード
いま自分の身に起きていることをカッコに入れる