しし座
時間泥棒とのせめぎ合い
自己催眠の修練
今週のしし座は、村上春樹の催眠術のごとし。あるいは、あるべき関わりを然るべき習慣を通して手繰り寄せていこうとするような星回り。
2004年の『パリス・レビュー』によれば、長編小説を書いているとき、村上は午前4時に起き、5、6時間ぶっ通しで仕事をした後、午後はランニングをするか水泳をするかして、あとは雑用を片づけ、本を読んで音楽をきき、9時には寝る。この日課を毎日変えることなく繰り返すのだそうです。
繰り返すこと自体が重要になってくるんです。一種の催眠状態というか、自分に催眠術をかけて、より深い精神状態にもっていく
また村上は、長編小説を仕上げていくあいだ、ずっとこうした日課を続けていくには、精神的な鍛錬だけでなく「体力が、芸術的感性と同じくらい必要」なのだとも言っています。まさに心血を注いで小説家としての仕事を全うしている訳ですが、おそらく村上は彼の小説の主人公たちと同じく、涼しい顔で淡々と“はぐれ官僚”のようにそれをこなしているのでしょう。
ちなみに、この習慣の唯一の欠点は人付き合いが悪くなることだそうですが、村上は個人的な交友関係が減ってしまうことよりも読者との信頼関係を優先するために、このライフスタイルを選択したのだとも言えます。
10月3日にしし座から数えて「習慣とリズム」を意味する6番目のやぎ座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、自分の毎日の習慣こそが人生の重要な選択に他ならないのだということを、改めて噛みしめていくべし。
哲学者ラッセルの助言
ラッセルは『幸福をもたらすもの』というエッセイの中で、「私心や下心のない好奇心」を持つことの大切さについて強く力説する一方で、「この世の有益な仕事の半分は、有害な仕事と闘うことから成っている」というリアリストらしい意見を披露しています
いわく、人は自分の利害に関係のあることだけに熱中し、それが人間の活動全体のうちでいかに微々たるものなのかを忘れがちであり、またそれと同じくらい、スケジュールというものがいかに容易に有害な仕事に埋めつくされるものであり、小まめに見直し、大胆に削除していく必要があることを忘れがちなのだと。
確かに、しし座の人たちというのはとかく奇怪な、また不思議な物事への好奇心は旺盛に持ち合わせる一方で、ついつい有害無害を問わず舞い込んでくる仕事に対して分け隔てなさを発揮しがちなところがあるように思います。
その意味で今週のしし座こそ、ラッセルの助言に従って、有害な仕事と闘い、勇敢に蹴散らしていくことがテーマとなっていくことでしょう。
しし座の今週のキーワード
かがみよかがみ