しし座
前向きな芸人たれ
前向きに歩くということ
今週のしし座は、靴下を嫌がる子どものごとし。あるいは、「裸足で歩く」ような体験を取り戻していこうとするような星回り。
長年にわたり日本人や日本社会を見てきた写真家のエバレット・ブラウンがつくったダジャレに、「日本人はクツを履いて、退クツ、偏クツ、窮クツになった」というものがあります。
実際、足裏にはたくさんのツボがあり、そこを靴下や靴で覆ってしまうと、血流が悪くなったり、足のセンサーが鈍くなって地面から発するマイナスイオンを取り込めなくなったり、かかとに重心がかかって後ろに転倒しやすくなったりなど、色々な意味でそもそもの生存能力が削がれていってしまうのだそうです。
確かにこれは感覚的にもしっくり来る話で、革靴なんかを履いてアスファルトの上を通勤する生活を続けていたときは、少しでも疲れたくないし、汗もかきたくないから、だんだん股関節を使わずに膝から下だけを前に投げ出し、滑っていくロボットのような歩き方になってくる。これを横から見ると、歩いているときの身体の軸が後ろ向きになっているのですが、いつの間にか身体だけでなく心の姿勢もまた“後ろ向き”になってしまう。
その意味で、27日にしし座から数えて「実感の深まり」を意味する2番目のおとめ座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、“前向き”な心の姿勢をつくりだすべく、まずは自分の足元から見直していくべし。
中世遊女の活力源
日本の中世社会において、遊女の多くはいわば個人事業主の自由民でした。したがって遊郭や旅籠に口減らしや出稼ぎ労働者として売られたあわれな娘という典型的な境遇を投影してしまうとほとんど的外れであって、交通の要所に集って陰に陽におのれの芸をもって身を立てた「芸人」であり、そこには舞や謡や手品や人形遣いなどの表の芸もあれば、性愛によって客を甘美な幻影で魅了する裏の芸もあり、それらの高い商品価値をみずからの足と腕で作り出していた訳です。
こうした遊女の本源にあるのは、過酷な運命の犠牲者などという受け身的な弱者ではなく、戸籍に入れられて国家に支配され税を徴収される農民的生き方への断固とした拒絶でした。
彼らはひとりひとりがそうした誇り高く逞しい商人でありつつも、川べりなどに集まって来ては音曲や嬌声の飛び交う煌びやかな幻影を共同運営していた訳ですが、そんな彼らの信じられないような活力源となっていたのが、全力で遊んでいただけなく、一ヶ所に定住することなくたえず「歩き続ける」というライフスタイルにあったように思います。
今週のしし座もまた、そんな中世を生きた遊女を見習って、みずからを過度に装う代わりに、どうしたら自分がいきいきとした生命として輝けるかを追求していくべし。
しし座の今週のキーワード
「日本人はクツを履いて、退クツ、偏クツ、窮クツになった」