しし座
柔らかに立つ
カエルぴょこぴょこ
今週のしし座は、「世に出ろとわれに蛙の鳴きたつる」(小杉余子)という句のごとし。あるいは、硬い志が柔らかく包み込まれていくような星回り。
掲句は所属結社を退会する際に詠まれた句。結社というのは俳句の世界特有の文化であり、今でいうサークルとも微妙に異なるものですが、それは作者の中で「井戸の中」という風に捉えられていたのでしょう。
小さな動物である蛙が、我に独立した俳人として世に出て、為すべきことをせよと呼びかけてくれている。
それは我の中に住んでいる「井の中の蛙」の声であり、その声は弱くかぼそいものかも知れませんが、作者の耳にはどうしても聞き流すことのできない声として響いたのかも知れません。
強い意志というのは、かえって周囲からの力強い大合唱の中からは決して生じてこないものであり、自分より小さな蛙が勇ましく鳴いているのを見て、自分もこうしてはいられないと奮い立った。そんなどこかほほえましい光景を連想させてくれる句でもあります。
23日にしし座から数えて「使命感を燃やす場所」を意味する10番目のおうし座で、新月を迎えていく今週のあなたもまた、今まさに大海に躍り出ていく「井の中の蛙」になったつもりで、己の為にすべきことを立つべき場所で行っていきたいところです。
おばあちゃん方式
蛙と同じくらい柔らかく、微笑ましいものと言えば、他に「おばあちゃん」が挙げられるかも知れません。じつはある種の「おばあちゃん」は人間の進化の一つの完成形態なのではないか、そんな風に思うことがありますが、特に今週のしし座は、ゆったりとした動作で仕事に精を出すおばあちゃんを思い浮かべるといいでしょう。
「おばあちゃん」は、若者のように「力づく」とか「素早く器用に」立ち回ることができません。何事にもゆっくりとした動きで対応しているので、パッと見、すごく非効率的に見えるし、サボっているようにも見えてしまう。
しかしだからこそ自分をごまかすことなく、丁寧かつ確実に仕事をこなしていきます。また、若者にくらべ体力がないので、同時に複数のことはできない代わりに、一つの仕事が終わるまで丁寧にそこに時間をかけていきます。
そしてなにより、見ていると思わず手伝ってあげたくなり、人から声をかけられやすいのも特徴であり、結果的に人の手を借りるのもうまくなるので、仕事を終わらせるのもそんなに時間はかからないのです。
のんびりと暇そうに見えて、実はきっちりとそれなりの量の仕事をしている。今週は、そんな「おばあちゃん方式」を取り入れてみるのも一興でしょう。
今週のキーワード
外柔内剛