しし座
単純に、決意をもって
未開人的叡智
今週のしし座は、レヴィ=ストロースの使った「ブリコラージュ」という言葉のごとし。あるいは、使えるものは何でもつかうというたくましさを発揮していくような星回り。
フランス語の「ブリコラージュ(日曜大工)」には、周囲にあるありあわせの材料で椅子や小屋など必要なものを器用に作りあげてしまうという意味があり、文化人類学者のレヴィ=ストロースはいわゆる「未開人」の社会を研究していく中で、彼ら特有の知恵をそんな「ブリコラージュ」の中に見出していった。
「未開人」が暮らしの中で所有できるものは、現代人に比べればケタ違いに少なく、従って日常生活において必要となるものをどれだけ手持ちの少ない材料で創りだせるかが、そのまま生死を左右することになる。
こうした制限された環境のなかで発揮される未開人の特性には、ともすると多大なる資源とエネルギーを食い潰すことでしかアイデンティティを発揮できない現代人のそれとは異なる汎用性が隠れており、それは私たちの尺度に置き換えれば、知的なたくましさに他ならない。
15日にしし座から数えて「仕事の流儀と美学」を意味する6番目のやぎ座で、下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、そんな「未開人」たちのように、とりあえず入手できるものであれば何でも使って、とにかく仕事を進めていくこと。また、何よりも制限された環境そのものを愉しんでいくことが課題となっていくだろう。
悲しき訓戒
「未開人」が絶対にされないことで、私たちが何かしら実のある制作していく上で、最も気をつけなければならないのは、「時間の搾取」だろう。
誰かの突発的な気まぐれや、尽くすべきでない対象からの命令に付き合って自分の時間を潰すようなお人好しであることは、生活を芸術作品にしていくこととは対極的な態度なのだ。
例えばこうした問題について、哲学者であると同時に生涯にわたって政治家でもあった古代ギリシアのセネカは、次のような言葉を遺している。
「ルキリウス君。きみはこうしたらよろしいでしょう―自分自身のために自分を自由にし、いままでにきみから奪い去られ、盗み取られ、あるいは逃げ去った時間を拾い集め、それを守ることです。」
おそらくこれはセネカが自分自身へ向けた戒めでもあったに違いない。そして「ブリコラージュ」の基本もまた、こうした自分のための時間を十分に確保することにあるのだと言っても過言でもないはずだ。
今週のキーワード
生活を芸術作品にしていくこと