しし座
仕方ないと思えるまで
「かなし」という言葉
今週のしし座は、「芋を食べ秋水を飲み清浄身」(山陰石楠)という句のごとし。あるいは、ひとつの問題やテーマに対して、極端な専心をしていくような星回り。
作者は終戦の年の秋に20代で得度したが、3年後に病気のために還俗し、家業の古美術商を継いだ半僧半俗の人。そんな生き方が詠んだ句にも不思議と表れ出てくるのが俳句の面白いところ。
秋になると、夏よりも水が澄んでくる。その秋水を飲むだけの清浄身ならば、世俗の外の仙人だが、作者は霞を食らう代わりに芋を食らうのだ。
どこまでも人間的な存在である自身の身を、それでも清浄身と言い切っておどけてみせる作者のまなざしは、どこか“かなしい”。
ただ、この場合の「かなしい」というのは、英語の「sad(悲痛な、うんざりした)」ではなく、「涙が出る」という意味の日本語の「かなし(哀し、愛し)」のニュアンスに近く、この語は「しかねる(仕方ない)」から来ている。
今週のしし座のあなたもまた、自分の業のようなものを徹底的に見つめ、他ならぬ自分を生きる上で抱え込まざるを得ない矛盾に、改めて目を開いていくことになりそうです。
余計な力を抜いてゆく
より簡潔な言葉に言い換えれば、今週はいかに上手に「力を抜くこと」こそが、今のしし座にとって最も重要な課題なのだとも言えるかもしれません。
例えば、幼児や児童を対象とした心理相談では、言葉より人形遊びや好きなゲームなどの「遊び」を中心にセラピストとやりとりをするやり方が主流です。
つまり、人形やゲーム、箱庭に言葉にならない言葉を見出していく訳で、掲句の作者もまた俳句と遊んでいくうちに、次第に力みが抜けていったのではないでしょうか。
今もしあなたが、考えやイメージがこんがらがって、ほどくのが難しいと感じているのなら、自分がピンときた場所や環境に身を置いて、まずは副交感神経をリラックス状態していくことを優先するといいでしょう。
さっと目が開かれる時というのは、案外そういうことがうまくできた時と決まっているものですから。
今週のキーワード
遊び上手は抜き上手