しし座
古き自分を脱ぎ捨てよ、ただし丁寧に
老鷲の終焉
今週のしし座の星回りは、「汝は鷲のように若返る」という聖書の言葉のごとし。あるいは、灰からよみがえり、自らを変容させていくこと。
2〜3世紀に書かれた『フィシオロゴス』という博物誌では、旧約聖書に収められた150篇の神(ヤハウェ)への賛美の詩である『詩編』103章5行の「汝は鷲のように若返る」という言葉を例に出したうえで、鷲の生まれ変わりについて次のように描写しています。
鷲は鳥の王であり、百年は生きるが、そのくちばしは大きくなりすぎ、目は曇ってもはや何も見えず、狩りもできなくなる。
最後にはとても高い岩山から身を投じ、くちばしを砕き、若返りの泉で水浴びし、それから太陽に向かって岩山の頂きにとまり、燦々とふりそそぐ陽光を浴びると、目から鱗が落ちて、鷲は再び若返るのだ、と。
キリスト教において鷲は「救済」の象徴であり、その受難と死と復活はキリストの事績と結びつけられている訳ですが、古代ギリシャにおいても鷲は「霊魂を導く者(プシュコポンポス)」とみなされており、鷲が天高く舞い上がる姿には、古来より人々の天空への飛翔と新たな生命への変容(変身欲求)への願いが仮託されてきたのです。
そして、14日(土)にしし座から数え「死と変容」を意味する8番目の魚座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、自分の中の概念や思考や行動に何らかの決定的な終焉がもたらされたことを実感していくことでしょう。
「女時」の自分を見つめていく
すこし前からの密やかな時間の流れの中で、自分に足りないものの模索はいまだ続いていますが、うまくいけば今週はそこに変化が出てきそうです。
あなたの中にある倦怠、虚脱感、退屈さ、そしてそれらの原因となっている心の重荷や不純物をただ静かに見つめていくことが出来たとき、何らかのかたちで復調のヒントとなるイメージがあなたの中に浮かんでくるかもしれません。
例えば、能の大成者である世阿弥は、「男時・女時」という言葉を通して日本最古であろうスランプ論について、次のように述べています。
「去年盛りあらば、今年は花なかるべき事を知るべし。時の間にも、男時・女時とてあるべし。いかにするとも、能のよき時あれば、必ず悪き事またあるべし(去年大いに運もついて調子がよかったならば、今年はこれといった華のない年になることを覚悟すべきだ。タイミングにも「男時・女時」というものがあって、どんなに優れた才能の持ち主であれ、どんな努力を重ねてきた者であれ、良い出来につながる時もあれば、かえって悪い出来につながってしまう時もあるのだ)」
女時(めどき)、つまり運のつかない時、調子の出ない状況にある時、その最良のやり過ごし方は、まずじっくりと「女時の自分」に付き合い、向き合っていくことではないでしょうか。
そんなことを大切にしていきたい今週です。
今週のキーワード
ジタバタするなよ