しし座
ただあるがままであるために
あたま真っ白
今週のしし座は、「頭の中で白い夏野となつてゐる」(高屋窓秋)という句のごとし。あるいは、日常の中で不意に光を受けとり、はっとしていくような星回り。
夏野には普通、植物の濃い緑や、空の青、雲の白、向日葵の黄など、強い色彩のコントラストが強烈な印象を脳裏に焼きつけますが、掲句ではそれがすべて「白い夏野」という言葉で表現されています。
これはおそらく、実際に何か白いものがそこにあるのではなくて、視界に入ってくる光の量が多過ぎて一時的に真っ白になってしまったのだろう。ただし、「何」が「どうして」そうなってしまったのか、説明は一切ない。
すべては「頭の中」の出来事であり、その意味で掲句は「写生」という近代俳句の培ってきた伝統的な枠組みを飛び出してしまっている。思いがけず飛び出したところに立ってしまった自分に気付いて、作者ははっとしたのでしょう。
事物というのは、人間と違ってあるがままにある。あるがままだけれど、隠れている。詩人の務めというのはそれらを見つけ出すことにありますが、その意味で掲句まぎれもなく詩人による仕事と言えます。
6日(金)にしし座から数えて「他の誰のためでもなく自分のためのカタルシス」を意味する5番目のいて座で上弦の月を迎えていく今週は、そうした“飛び出し”をあなたもまた体験していくことになりそうです。
融通無碍に状況を楽しむ
仏教では「異なった別のものがひとつに解け合っていながら何ら障害もないこと」を「融通」と言い、また「何の妨げもなく他のものを拒否しないこと」を「無碍」と言い表します。
そうした融通無碍の境地へと実際に至ることは世俗に生きる人間には難しいことですが、少なくとも「矛盾の中にありながら、その状態を否定しないでいること」というのは、今週のしし座にとってとても大事なテーマなってくるでしょう。
なぜかって?
そういう状態が、人間にとって一番サインや予兆やメッセージを「受け取る」ことができるから。
あなたは今、まさにこれからの自分の行先を占っているのだと思います。四角四面に物事を割り切らず、しばし融通無碍な時間を楽しむつもりで今週は過ごしていきましょう。
今週のキーワード
パッと動いて、ハッと気付く