しし座
遊びをせんとや
緩衝地帯としての遊び
今週のしし座は、「深い遊び」をこなしていく子どものよう。あるいは、理屈や思考に寄らず、みずからを整えていくような星回り。
何かに深く集中していくということは、別の何かを忘却していくということでもあります。
こうした状態をスポーツの世界ではよく「ゾーンに入る」などとも言いますが、同様の状態について文化人類学者のロジェ・カイヨワは、『遊びと人間』という本の中で次のように説明しています。
いわく、「身体をさまざまに翻弄する」ことによって、「一時的に知覚の安定を破壊し、明晰であるはずの意識をいわば官能的なパニック状態に陥れようとする」、一種の催眠術的効果なのだ、と。
「空中ぶらんこ、空間へ身を投げ出すこと、あるいは墜落、急速な回転、滑走、スピード、直線運動の加速、あるいはこれ旋回運動の組み合わせ…」。
こうしたものに私たちの"存在感覚”と呼ぶべきものは簡単に揺らいでしまうのであり、そうしてもたらされるある種の意識のゆるみこそが、日々さまざまな感覚情報の洪水の中で不協和音を発し続けている身体との関係の滑りをよくしてくれるのだ、とも言えるかもしれません。
同様に、30日(金)にしし座から数えて「身体性」を意味する2番目のおとめ座で新月を迎えていく今週のしし座もまた、理屈や思考によらず、存在の芯に直接ずしんとくるような「遊び」を通じ自らを整えていくことがテーマとなっていくでしょう。
呼吸という遊び
現実的な困難であれ、自分では処理しきれない感情であれ、人間に生じたものである以上、時が経てば自然とおさまってくるもの。
ですがそれを早めるも遅らすも、心の使い方や、そのもっとも顕著な現われとしての「息」の仕方次第で自在に変わってくるのだと、野口晴哉は述べています。
「時を知り 自然を知る者は いつも静か也
可し可からず(べしべからず)の檻の中で窒息しかけてゐるのは
天行の健やかなるを知らざる人也空の青きを知らず 日の輝けるを見ず 自分の影に怯えてゐる也
山の高きは人間が高きと思ふがゆえ也 思はねば月も冷たき石也海の深き 河の速き 人間がさう思ふからさうある也
高きに非ず深きに非ず ただ人間の息が短き也」
今週は、まずを深呼吸をひとつして、息を深めていくところから始めてみてはいかがでしょうか。
今週のキーワード
「天行の健やかなる」を感じていくこと