しし座
おのが血で愛を語れ
血液文化の精髄
今週のしし座は、からだ中を経めぐる熱い血潮のごとし。あるいは、いかなるものにも支配されない自動詞としての生命現象として、私やあなたを感じていくような星回り。
かつて生物学者のライアル・ワトソンは『生命潮流』の中で、生命の本質を「時間的・空間的広がりと、広がりへの意志」として捉えました。
また、精神科医ユージェーヌ・ミンコフスキーは『生きられる時間』において、時間は
「…力強い大海原である。それは生成である。…時間は流れ、過ぎゆき、償いがたく逃れ去る。が同時に、それは前進し、進歩し、無際限でかつまた捉えがたい未来へ向けて出立する」
と述べました。
彼らのような視点は、シンボリズムの世界では古来より人と世界を貫いて巡る血液と、その循環を司る心臓において見事に表現されてきました。
少なくとも18世紀までは、「血液はすべての体液の父」と言われてきましたし、体中を絶えず流動しては濡らす血は、死体の不動と対照をなし、生命の象徴たる液体だったのです。
動脈を通して臓器や四股の末端まで酸素や栄養分を届け、静脈を通じて働きを終えた血液を戻すという心臓の「正しい動き」のおかげで、肉は生温かくなり、人は自己を自立して構成し、話し、聞き、動き、見、触れ、味わい、愛しあうことができる。
さらに言えば、幼子を育てる乳も、心が動いたときに流れる涙も、やはり血であり、心臓から送られてくる波であり、人と世界を貫いてめぐる生命現象なのではないでしょうか。
21日(月)にしし座の始まりで満月(月食)が形成される今週は特に、そんな生命としての基本に立ち返って生を実感していくには絶好のタイミングとなっていくはずです。
血は人間の味がする
つまり、生命としてきわめて自然な衝動に文字通り身を任せていくとき、脳という小君主の小賢しい作為や操作をこえて、血と心臓という対に第3の用語である「愛」が加わっていくのだということ。
恋せよ、酒を飲め、踊れ、新しい遊びを始めよ。
それらはまったく愚かしい人間の宿業そのものではありますが、しし座の真骨頂というのは愚かしさを極めた人間臭さにあるのであって、そうである限りしし座人というのは、不思議なほどにあたたかく、おのずから輝き周囲を照らす存在となっていけるのです。
どうか今週は頭で考えるのではなく、まず心臓(ハート)から語り、動いていくように。
今週のキーワード
2つの宇宙は太陽と心臓という二大君主によって統べられている