しし座
あんまり深刻になるなよ
ポップでキュートな「救済」の図
今週のしし座は「しめぢにはしめぢ型天使来る」(関悦司)という句のごとし。あるいは、どんなに不格好であっても自分にとって最高ならば、世間がどう思おうが関係ないよと叫んでいくような星回り。
人間には人間の天使が来るのだから、しめじには“しめじ型の天使”が来るのだろうか? いや、来るんだろう。たぶん。
得てして「救済」の場面を描こうとすると、フランダースの犬のネロよろしく、どうしても悲劇的な色調を含んだものになりがちなのですが、これくらいキュートかつポップに描かれると、余計な感傷もさっと吹き飛ぶような気がして、笑うとひまわりの花のようなしし座にはぴったりです。
今週は暗黒世界の中で雲間から差す一条の光を見出していくように、ある種の「救済」ないし「解放」を経験をしていくことになりそうなあなた。
しかしそれは、「あんまり深刻になるなよ」と宇宙から軽くこずかれる程度のものというくらいのつもりでいるのがちょうどいいでしょう。
唯一存在としての太陽
とはいえ、どうしたってドラマティックなものを見たくなるのもしし座のサガ。ひとつ思い出すのは、16世紀前半、盛期ルネッサンスに活躍した画家コレッジョの遺した作品。パルマ大聖堂に描かれた大作の天井画です。
「聖母被昇天」と名付けられたその作品は、聖母マリアの死から3日後に魂と肉体が天上へと昇天してゆく場面を主題に描いたもので、キリストが降りてきてマリアを迎え、アダムやエヴァその他大勢の人物が描かれています。
1530年、愛する妻を失い悲しみにくれたコレッジョが、4年もの歳月をかけて直径11メートルという巨大な丸天井に天井画を描いたのだそうです。聖母マリアが祝福されながら天井へ送られているその姿に、彼は妻の姿を重ねていたのでしょうか。
しかも、コレッジョがこの作品を書き上げた直後に亡くなっているという史実がまた胸に迫るものがあります。
太陽がただ1つであるように、彼にとっての救いも妻という唯一の存在に仮託されていたのかもしれませんね。たぶん。
今週のキーワード
罪と救い