しし座
初心回帰
返るべき「初心」とは
今週のしし座の星回りは、「初心忘るべからず」という言葉のごとし。あるいは、自分の未熟さをよく知りつつも、新しい事態に挑戦していこうとすること。
世阿弥に発するこの言葉における「初心」とは、普通に考えられているような「最初の志」のことではなく、まだ自分が未熟であった頃の最初の試練や失敗のこと。
試練に圧倒されたり、失敗の前に膝をついたことのない者には、本当の成功はおぼつかないと言っているのだ。
そして、試練というのはいつも忘れた頃にやってくる。
そんな時、自分を助けてくれるのは都合よく手を差し伸べてくれるパートナーなどではなく、いつだって苦しんだ過去の自分に他ならない。
例えばしし座にとって、ここぞという時に自分が選ばれなかったり、思ったより人気が出なかったり、人前でコケにされたり相手にされなかったという体験は、大いに挫折となり得るが、だからこそ「初心」なのだ。
そういうことを不当だとか、世間や相手が悪いと思い込むのではなくて、新たな挑戦のための狼煙があがったのだと気付くことが「初心」となる。
はじめから99%前向きな志を持てる人なんていないし、そういう志は結局のところ最後まで続かない。
逆に99%後ろ向きで当たり前な状況から、49%後ろ向きで、51%前向きなところまで持ち直した時、初めて人は「初心」を手にしていく。
今週は文字通り、初心に返るべし。他に必要な言葉はないように思う。
時間は螺旋
時間は直線的に流れているものではなく、螺旋を描いて円環的に循環しつつも小さな差異を積み重ねていくものという考え方があります。
そして世阿弥の教えというのは、明らかに後者を前提にしているものであります。
人生のあらゆるところにある壁にぶつかっては、そのたびに螺旋をたどってかつての試練を思い起こすことで、新しい壁を超えていこうという態度を一貫して持っていくことをよしとします。
その際、螺旋を描くときには後ろが見える。良いことも、悪いことも、振り返る過去がなければ、壁を超えていくことはできないのです。
時には、壁を前に足が止まり、腰が引けてしまうことだってあるだろう。今度の壁はどうか。
足が前に動かないなら、しっかり後ろを振り返って、必要なだけ後退すればいい。それさえも螺旋の時間の刻みのひとつ。
今週のキーワード
49%後ろ向き、51%前向き