しし座
サインと循環、それが儀式
初めにサインあり
今週のしし座は、「爪揉んでさしていのちの惜しからず」(鈴木真砂女)という句のごとし。あるいは、さりげなく、しかし決定的なサインを誰かに送っていくような星回り。
同じセリフでも、「命なんかそんなに惜しくないよ」ともし直接言われたら、逆に痛いよコイツってなもんですが。それがこうして文語体で言われると、なんとも言えない吸引力が発生するから不思議です。
特に、「さして」のところなど、芯のある女性のさらりとした表情がうかがえて、逆に殺し文句になっている。
掲句をつくったとき、作者は70代。一体誰に向けて発された一言だったのだろうか。あるいは、かつてのど元まで出かかってついに発することのできなかった一言だったのかもしれない。
そもそも、そういう台詞を放てるだけの相手と私たちは生涯にそう何度もめぐり会うことはできないだろう。
もし今この瞬間に思い浮かぶ相手がいるのなら、後悔することのないように。想いを直接伝えられるのは、生きているうちだけなのですから。
輪
「多大なる自己には当然他人など存在しない為、
薬であれ毒であれ、与えることは得ることとなり、
得ることは与えることに因る。
それが循環という理、輪(和)の回り方である。」
(橋龍吾、『銀河飛行』)
言い換えれば、共にあることと自然体でいること、生きのびることと死んでいくこと、身を固めることと馬鹿になること。
これらを分かつ境界線をいかに引き直していくかということがここではテーマとなっているのであり、今週は、それがあなたに突きつけられていくタイミングなのだと言えます。
誰かに決定的なサインを送るということは、それが回り回ってあなたの元へと還ってくるということであり、愛情表現というのはそうした自然な循環に与していくための儀式に他ならないのだと思います。
今週はそうした循環を回していくには絶好の機会となっていくでしょう。
今週のキーワード
他人など存在しない