ふたご座
文明をひっくり返す
泉を見つけること
今週のふたご座は、逆さにひっくり返した自転車の車輪が、カラカラと音を立てて気持ちよさそうに回転していく星回り。自転車だってあんまり酷使されたら疲弊します。
いつの間にか目の前の道をただただ走り続ける車輪のようになってしまった身体や脳みそをいったん停止させ、しばし休息させることを今は大切にしてください。
方法は簡単です。自転車をひっくり返すだけ。
すると、カラカラと空転する車輪の音を合図に、ありふれたアスファルトの道の脇には幻のような田舎道が現像され、視界のはしに子供の本に出てくるような光景がちらつき始める。やがて近くの草むらからはグォボっと大地のうめき声が聞こえてビクッとする。なんだ、こんなところに泉が湧いていたのかと、胸をなでおろしたあなたは、渇いたのどを潤わせるでしょう。
脳みそを違うモードに切り替えるスイッチは、日常の中にこそ隠れているものです。
愛するための感性を
かつてD・H・ロレンスは、「現代人は愛しうるか」というテーマで書かれた文章の中で、宇宙的でデリケートな感覚を鮮やかに披露して見せました。その冒頭は次のように始まります。
「文明とは何か。それは発明品などよりも感性の生活のうちにこそ、明瞭な姿をあらわすものだ」
自分がいきた身体の内にあって、同時にいきいきとした宇宙の一部でもあることを実感するためには、時に文明の明かりや装置のスイッチをオフにしてみる時間が確かに必要なのです。
またその意味では、男女の仲にあっても、互いをあんまり「個人」として見なし過ぎるのは、感性的とは言えないでしょう。
今週のキーワード
内なる泉とつながるために自分を鎮める