ふたご座
過去のおさらい
そうだ、土器を焼こう
今週のふたご座は、学校にも行かずに土器を焼いている学生のごとし。あるいは、何でか知らんけど思春期のやり直しをしていこうとするような星回り。
河合隼雄がどこかに書いていたのですが、むかし「学校に行かずに、きみ、何してるんや」と聞いたら「弥生式土器を焼いている」と答えた学生がいたそうです。
骨董屋のおっさんの指導をうけて、弥生式とか縄文式の土器を焼いて、そういうことばっかりやって日常生活を送っていると。河合の考えとしては「土器」とか「土」とか「つぼ」というのは、みんな母親の象徴と一致するものであって、思春期の時期、母親から独立するために、そういうことが起きたりするのだそうです。
もちろん、土器ということの内的必然性が、その人のこころの深部まで届いた場合、その人は焼き物で一生いける訳ですが、大抵はノイローゼにならないかわりに、自分でもそうと意識しない形で、一時的にいつの間にかそういうことになって、しばらくするとそんな時期があったことさえ自分でも忘れている。それは別に、何でか知らんけどパチンコにハマっていたり、何でか知らんけど誰かを夢中になって追いかけたり、といったことであってもいいんですね。
一見アホなことをしているときこそ、ほわっと意識がゆるんで、抱え込んでた心理的問題をほどいていくための内的必然性みたいなものを消化しているのであって、2月8日に自分の星座から「夢見」を意味する12番目のおうし座で上弦の月を迎えていく今週のふたご座の人たちもまた、どこかそういうところが出てくるかも知れません。
あらためて
将棋の羽生善治が、以前インタビューで次のように答えていたのを見たことがあります。
長考するときに何を考えているかというと、こう指せばああ指してくるのだろう、といったような、これからのさまざまな可能性、むろんそういうことも考えるが、むしろ初手から現在の局面までにいたる過去の過程をもう一度おさらいしていることが多いのだ
つまり、どういう流れから今の局面ができあがったのかを確かめていく、そこからおのずと次に指すべき一手が何なのかが自然と浮き彫りになってくるという訳ですが、これは岐路において「あらためて」進むべき方向や取るべき手段に悩んだ際には非常に重要なプロセスと言えるでしょう。
この「あらためて」という言葉には、「新しく、あらたに」という意味と、「これまでのことを吟味し改めて」という意味とで、二重の意味合いがありますが、こと生き方ということにおいては、人はこれまで生きてきたものを措いては新しいものをいきなり発明するなどということはまずできません。従って、新しい問題やこれまで経験したことのない事態に対する時ほど、おのれの「来し方」や「古さ」と真剣に問うことが鍵になってきます。
その意味で、今週のふたご座もまた、いま自分が直面している事態や局面をいかによき転機へと展開させていくことができるかが問われていきそうです。
ふたご座の今週のキーワード
迷ったときほど過去のおさらい