ふたご座
欲望をめぐってジタバタする
欲望のゼロサムゲーム
今週のふたご座は、「悪女」の伝統に立ち返っていくよう。あるいは、両性からともに失われてしまった欲望の行方を探して。
悪女の歴史をたどると、中世までは「醜い女性」が悪女だったそう。つまり、社会が決めた美の基準が悪女をつくった訳ですが、逆にその反対に位置づけられる美女とは、美人であることに加え、「純潔で、権力をほしがらず、従順である」女性のことを指しました。
これは女性の主体性が家父長制のもとで、いかに社会文化的に否定され、貶められてきたかということをよく表していますが、現代に息を吹き返したフェミニズムはこうした女性の欲望を回復する力を再び貯えつつあります。
しかし、それは「女性の地位から男性の地位に上がろうとしている」といった単純なものではなく、追放された欲望をいかに取り戻して女性蔑視という痛みから立ち上がり、「女性」という使い古されたカテゴリーの解消に向かうのでなければ、「女性」→「性悪」→「悪女」という根強い連鎖は本当の意味で終わりが来ないのではないでしょうか。
27日にふたご座から数えて「系譜の力」を意味する4番目のおとめ座で下弦の月(気付きと解放)を迎えていく今週のあなたもまた、男と女のあいだに横たわる暗い河をのり超えていくために、まずその河の真ん中に分け入っていくか、すでに自分が深みにはまっていることに気付いていくことがテーマとなっていきそうです。
「じたばた」すること
「じたばた」という言葉は、何かしらネガティブな状態から逃れようと慌てたり、焦ったり、取り乱したりして、結果的に見苦しい様相を呈する際に使われ、ほとんどの場合「じたばたするべきはでない」などと否定形で用いられます。
しかし黙ってじっと耐え抜けば、思いきった転身を経ずともいつか事態は好転していくはず、といった日本人好みの信念は、変革期の歴史を振り返ればしばしば大惨事を招いてきた真犯人でもあり、そうした批判は今の時代状況においてもまだまだ有効でしょう。
特に日本社会のジェンダー格差の深刻さに関して、誰もが「どうしてこうなったのか?」という解けない問いを突きつけられているかのような現状では、それに囚われて立ち止まってしまったり、じたばたするのは恥ずかしいと自縄自縛に陥っていくのではなく、むしろ解けないことについての実践をなし続け、そこで現われてきてしまう新局面を積極的に見ていこうとすることこそが、ますます大切になっているのではないでしょうか。
その意味で、今週のふたご座もまた、スマートな仮面を脱ぎ捨て、今こそ思いきり泥臭くじたばたしてみたいところ。
ふたご座の今週のキーワード
見苦しさを超えていけ