ふたご座
不思議な間合い
こくりこっくり
今週のふたご座は、「水桶にうなづきあふや瓜茄(うりなすび)」(与謝蕪村)というのごとし。あるいは、不思議と通じあう感覚の特別さに気付いていくような星回り。
これは作者が江戸に出てきてまもない雲裡坊(うりぼう)と初めて会った頃につくった一句。出会いのきっかけが何であったかはよく覚えていません。俳句の系列からいっても異なった二人でしたが、不思議と馬があい、初対面から意気投合したのでした。
何の話をしても楽しくなってしまい、仕草や手振りひとつでお互いに相手の考えていることが手の取るように分かり、それに相槌ばかり打ってしまうような、それはそれは愉快なひと時だったようです。
そして、坊主頭の二人がこくりこっくりうなずきあっている様は、水桶にゆられて浮かぶ瓜と茄子にそっくりだったのでしょう。句を作った蕪村も、そして示された雲裡坊も、きゃっきゃと笑いあっているのが目に浮かぶようです。
おそらく、生涯に数度しか直接会う機会のなかった二人ですが、だからこそそんな瓜と茄子のような関わりを結べたのかもしれません。
7月2日にふたご座から数えて「自己承認」を意味する11番目のおひつじ座で下弦の月を迎えていくあなたもまた、自分を望ましい形で認めてくれる存在やそのつながりの価値について改めて思い至っていくことでしょう。
あわいに立つ
いつの時代であれ、社会の先行きが見えなくなってくると必ず幽鬼悪霊のたぐいが数多く出現しては、複雑怪奇な世相を織りなすものと決まっていますが、互いを人間以外のモノノケに喩えた掲句にもまた、互いの関係性の確認をめぐる多重の見せかけや裏切りに彩られた、絶望的な陽性主義とでも言うべき思想的特色が漂っているようにも思えます。
それはすなわち、人間のもつ「業の肯定」であり、そこで生じてくる怪しい光を、みずからの衣装としてまとっていく際の不思議な高揚感とでも言えましょうか。ただ、今週のふたご座の人たちはそうした風潮とはなるべくなら距離を置いていきたいところ。
つまり、簡単に「業の肯定」などもしなければ、無暗な否定もしない、あるいは、そういうものに寄り添うようでありながら、ほっとくようでもあるような、そうした得体の知れぬモノノケとの関わり方における絶妙な塩梅というものを探っていこうということでもあります。
今週もし「二者択一」を迫られたら、できるだけそのあわいに立っていく姿勢や、そうさせてくれる相手をこそ大切にしていくべし。
ふたご座の今週のキーワード
ささやかながら手を伸ばす