ふたご座
強さと脆さのはざまで
こちらは5月24日週の占いです。5月31日週の占いは諸事情により公開を遅らせていただきます。申し訳ございません。
調和性の最小単位
今週のふたご座は、ライプニッツにとっての“魂”のことわりのごとし。あるいは、自分が欲している「調和」の実感を追い求めていくような星回り。
17世紀の大哲学者ライプニッツが、かつての秘書であった数学者のクリスチャン・ワグナーから、「先生、いったい魂とは何でしょうか?」という質問に答えるべく送った手紙には次のような一節が書かれていました。
「私は物質のうちにいたるところ付加されている能動的原理を認めるからこそ、物質を貫いていたるところに生命の原理、すなわち表象の原理が広がっていると考えます。これはモナドであり、いわば形而上学的アトムであって、部分をもたず、自然的には生じたり滅びたりすることのないものです。」
ライプニッツの思想の中枢概念はこの「モナド(単子)」ですが、これは「アトム(原子)」に代わる物質の究極単位などではなく、あえて言うなら「存在を見るための単位」ということになるでしょう。
つまり、ライプニッツにとって存在するとは、部分が全体の調和に組み入れられ、部分が部分にふさわしい“居場所”を相互に見出し得ることを意味しており、そうした調和性や相互性が成立するときの最小の個別化の単位がモナドであり、それこそが魂の在り方に他ならないのだ、と。
26日にふたご座から数えて「公私のパートナーシップ」を意味する7番目のいて座で皆既月食を迎えていく今週のあなたもまた、改めて調和的な相互性を見出し得るような“居場所”に立っていくべく、それに必要不可欠なコミュニケーションをとっていくべし。
影を引きずりつつも
人間というものはすべて、どんなに洗練されているように見えても、必ずどこかに太古的なものを引きずっており、したがって醜悪で不気味な暗い影が差しているものです。
そうした側面をふとした拍子に垣間見せられた者は、わざわざさかしらに暴きたてるような野暮な真似までしないものの、受け止めきれずに一方的な価値判断を加えてみたり、自分が見た悪夢を打ち消そうと完全な明るさに満ちた別の像を夢見ていく傾向にありますが、それこそ終わりなき屈折と錯覚の始まりなのだと言えるのではないでしょうか。
心にはまだ発達可能な太古的無意識の「残り」がありますが、それがどれだけの規模なのかは、誰にも分かりません。人はなぜ理性的でないのか。善のみ行わず、悪を為すのか。愚行を繰り返し、最善の意図を見失うのか。そして、なぜどこまでも自分に満足できないのか。
今週のふたご座は、そうした影を引きずりつつも、改めてこうした問いに立ち返っていく意志を問われていくことでしょう。
今週のキーワード
自然的には生じたり滅びたりすることのないものとしての魂