ふたご座
納得それは世界の反転
脳を突き抜けるメロディー
今週のふたご座は、「葉桜や空は疎にして鳴らせば葉」(田島健一)という句のごとし。あるいは、心身が不意にサッパリしていくような星回り。
確かに桜が葉桜になると、もう下から見上げると向こう側の青空が目立ち、花はその手前でまばらに咲いているだけで、風が吹けばサァーっと青葉のような音がします。
けれど、この句で作者が言いたかったのは、「ソにしてハ!」という音の組み合わせであり、そこで生まれるメロディーでしょう。
あたり一面がピンクに染まっていたそれまでの光景とは、図と地が反転してしまったような、新たなドラマが始まるその瞬間のインパクトをそのまま句にしたような印象。
逆に言えば、小難しい理屈や複雑な約束事はそこでは置き去りにされている。そんな「選択」を作者はひとつの句にしたのかもしれません。
4日夜にふたご座から数えて「幼児的な実感」を意味する2番目のかに座で下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、意味を超えた体験の強度に自身を明け渡していくべし。
「成功」より「納得」を
日々たくさんの意味情報を脳が摂取し、以前よりずっと多くの機会や選択肢が与えられるようになった現代社会では、誰もが少なからず選択に難儀しています。
けれど、私たちは決して外から与えられたタイミングにおいてのみ何かを選んでいる訳ではありません。日々、色んなことを選択してきた自分がいて、その自分が何かを選びます、と外の世界に宣言するのが、そのタイミングだったというだけなのです。
こうした「選択」の問題をめぐって、例えば『大人の進路選択』を書いた山田ズーニーさんは次のように言っています。
「自分を「選択」まで導いてきた意志の集積に比べれば、「結果」は小さいことだと私は思う。だから、いざ「選択する」という段になって、あっちが有利だから、こっちは恐いからと、それまで自分を導いてきた意志をすりかえるというのは、おかしな話だし、「結果」に負けて、「意志」がつぶされるというのは、順番が逆のように思う。」
確かに、私たちはどうも結果の有利不利に負けて意志を曲げた時にはいつだって、後になってから「やっぱりこっちじゃなかった」と思っている節があるし、人は案外、「成功」それ自体よりも、「納得」をこそ求めているものなのではないでしょうか。
そして今週のふたご座もまた、どこかぼんやりとしてはっきり見えていなかった自分の「意志」というものと、改めて通じ合っていくことができるかも知れません。
今週のキーワード
意思の回線工事