ふたご座
ヒアとゼアの相互浸透
※当初の内容に誤りがありましたので、修正を行いました。ご迷惑をおかけし大変申し訳ございません。(2021年1月25日追記)
精神の飛び地へ
今週のふたご座は、「そなさんと知つての雪の礫(つぶて)かな」(沢田はぎ女)という句のごとし。あるいは、危険で魅力的なサプライズに巻き込まれていくような星回り。
作者は高浜虚子の弟子で明治生まれの人。「そなさん」とは「そなたさま」の意で、親愛の情をもって相手を呼ぶときに用いる、主に芸能の中で使われてきた言葉らしい。
最後の「礫かな」で転調されるまで、S音が続けざまに3度繰り返されるが、これもどこか女性の囁き声のようで、どことなく艶めかしい。
雪が降る音のような、親しい女の囁き声のような、それでいてそこはかとなく静寂が身に沁みてくるような道行きのなか、人は次第に時間の感覚を失っていく。
だからこそ、最後の転調の激しさが、油断していたところに急に「礫」をぶつけられたように効いてきて、思わずドキリとさせられてしまうのだ。
ともすれば「雪女とはこういうものだったのかも知れない」といった想像をかきたてるほど、愛らしく危険な女ごころの妙を描いているように感じられる。
29日にふたご座から数えて「想像と飛躍」を意味する3番目のしし座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、サプライズを仕掛けるにせよ、仕掛けられるにせよ、思いがけず日常から非連続の“飛び地”へと精神を飛躍させていくことになりそうだ。
雲をとりのぞく
できあいの言葉で思いを吐き出してしまいそうになったら、いったん深呼吸でもして、次のような一節を思い出してみてほしい。
「雲は知っていない、
なぜ、この方向に
このスピードで動いていくのかを
知らない。しかし、空はすべての雲の秩序を把握している。
君達にもそのことがわかるだろう。
地平線の向こう側が見える程の
高みに立った時には。」
(リチャード・バック『イリュージョン』)
空を見上げながら、ゆったりとした気分で心の中から「雲」を取り除いてみる。すると、雲なんて最初からなかったかのようにどこかへ消えてしまう。そんなとき、あなたは雲の向こう側に広がる光景をこれまでにない鮮やかさで捉えていくことができるはず。
今週のキーワード
対比を際立たせること