ふたご座
目の引っ越し
物事の見え方の変化
今週のふたご座は、「目薬に冬めく灯り校正室」(小沢信男)という句のごとし。あるいは、ささやかな五感の不思議に打たれていくような星回り。
いわゆる生活俳句であり、労働俳句ですが、俳人の細川源二によれば、俳句を通して生活を詠むということの一番危険なことは生活意識が先立って、どうしてもスローガンや愚痴になってしまうことだと言いますが、一方で次のようにも述べていました。
はたらく人間の常に追い求める美を生活の中からつかみ出し文字に創り上げることで、生活にうるおいを加えるために生活俳句は存在すると言っても過言ではない
その意味で、掲句はまさにその典型と言ってもいいでしょう。校正室にこもって夜通し作業に明け暮れるさなか、目薬をさして「灯り」の方を見ると、これまでとなんだか違って見えた。その時、その感覚の変化にふと冬の訪れを実感したというのです。
もちろん、灯りそのものは一年を通して変わらないはずですが、それを見ているこちらの眼の乾き具合に「冬めく」気配を感じ取ったのかも知れません。それだけ、目薬による目の潤いが新鮮だったのでしょう。
そして30日に自分自身の星座であるふたご座で月蝕の満月を迎えていく今週のあなたもまた、自身の物事への感じ方や捉え方が以前と比べ変化している実感が強く湧いてきやすいタイミングと言えます。
変態のプロセス
サナギから蝶へと至る「変態」のプロセスは、ある意味で環境が用意してくれた変化の波にいつの間にかさらわれるようなものですが、いまのふたご座においてはむしろ「自分から変わっていかねばならない」という側面がより強調されているのだと言えそうです。
変態はとても複雑なプロセスではありますが、ここでは、幼虫と成虫とでは食べるもの=エネルギー源がまったく異なるという点に注目しておくといいでしょう。イモムシが植物の葉を食べ、蝶は花の蜜を食べるように、心や体を喜ばせるために摂取するものをこれまでと大幅に変えていくためには、変態は大きな助力となるのです。
そういう意味で、今週はもしかしたら魂が震えるような言葉や喜びとの出会いがあるかも知れませんし、初めはそこまでインパクトのなかった体験が、何度も反芻されていくうちに目薬のように後からジワジワ効いてきて、あなたを変態へと導いていくかも知れません。
いずれにせよ、大切なのはあなたの「変わりたい」という意志の確かさであり、それに基づいた自己への働きかけなのだということを、今週は忘れずにいましょう。
今週のキーワード
自己への慰めと身体の呼応