ふたご座
ミの解体と交換
従順体と野生体
今週のふたご座の星回りは、さながら身体図式の脱テロル。すなわち、容易に操作可能な従順体から、繊細かつ溌溂とした野生体への移行を促されていくような星回り。
フランスの思想家M・フーコーは、身体の「調教」を通じて、人間主体の奥深くにインダストリアル(勤勉=産業的)な精神を植えつけ、自発的かつ自動的に「役に立つ」人間であろうとするよう仕向ける近代特有の社会的文脈のことを「社会の軍事的な夢」と呼びました(『監獄の誕生』)。
つまり、外部から無理やりにではなく、「みずから権力による強制に責任をもち、自発的にその強制を自分自身へ働きかけ(中略)自分みずからの服従の源泉になる」ように、身体が反応するように「学校、工場、兵舎、病棟、刑務所、孤児院」などの諸施設や社会の空気を通して仕向けられるのだと言うのです。
そうして出来上がる身体図式をここで仮に「従順体」と呼ぶとすれば、ふたご座の人たちに根源的に与えられている課題というのは、いつの間にか縮減され、規格化し、抑圧された身の位相を、いま一度もとの柔軟でしなやかな「野生体(開放態)」へと戻すべく、活性化していくことにあるのではないでしょうか。
10月1月から2日にかけて、ふたご座から数えて「幸運の追い風」を意味する11番目のおひつじ座で特別な満月を迎えていく今週のあなたもまた、調教された身体図式から脱け出していくための「行(ぎょう)」を自分なりに試みていくことになりそうです。
市に立つ
古代世界や中世において、自分自身とその持ち物とはきわめて強く結びついていましたから、物と物との交換や贈与互酬が繰り返されると、同じ共同体内の絆が強く密接になりすぎてしまい、それでは交易が成り立ち得ず、物自体の交換を可能にするために「市」という手続きが設けられるようになっていきました。
市の立つ場所にはさまざまな特徴があり、大樹が立っている場所だったり、虹が立つとそこに市を立てなければならなかったり、そのほかに、河原や中洲、浜、坂、山の根など、自然と人間社会との<境>や、神仏の世界と俗界の<境>で、聖なるものに結びついた場が選ばれました。
そこに入ったものは、俗界からいったん縁が切れて神のものになる。それゆえにこそ、後腐れなく物を物として相互に交換していくことができた。逆に言えば、市での交易というのは神を喜ばせる行為でもあった訳です。
今週のふたご座は、そんな「市」に自分自身の生身の身体を立たせて、これまでいたのとは別の身体図式に慣れさせていくような、そんな感覚が久々にしっくりきそうなタイミングと言えるでしょう。
今週のキーワード
カストルとポルックス